私たちがまず訪れたのは、先日までの大雪で雪原と化した建設地帯。そこは「大瀋陽」と称する遼寧省の新都市計画(遼寧省内に33ヶ所の新都市を構築する計画)の一環となっている「瀋撫新都市」の建設現場で、到着後、現地のパトカーの先導の下、建設中の新都市の様子を見学しました。
瀋撫新都市は渾河と呼ばれる大きな河を隔ててその南が瀋陽市、北を撫順市が管轄しています。
瀋撫新都市の完成予想模型=撮影:万兵
2015年に竣工予定のこの新都市は、40万平方メートルに渡る広大な土地に住宅やオフィスビル、学校や病院、ショッピングセンターといった都市機能はもちろんのこと、テーマパークや水族館、動物園といったレジャーを兼ねた新たな観光地としての役割もあり、建設現場では既に一部の別荘が竣工、販売されています。
この新都市全体のテーマは「エコロジー」。
都市全体を統一プランに基づいてコアエリア(住宅およびオフィスビルエリア)、別荘地、レジャーエリア、工業エリアなどのいくつかのパートに分けられ、全てのエリアにおいて緑化、林地の造成、渾河の河水を利用した水路を巡らせるなど人工的な自然とのバランス良い融合を目指した新都市計画となっています。
もちろんこうした景観上のエコロジーだけでなく、遼寧省は新材料や環境保護型建築材料の生産にも取り組んでおり、建築物の暖房から排水に至るまで、省エネと環境保護を基本としたエコロジーという理念をベースに建設が進められています。
「そして、こうした新都市が形成されることで、新たな就業の機会が生み出されるのです」。
撫順経済開発区管理委員会の李鎮氏はそう締めくくりました。
建設中の瀋撫新都市
実際、このプロジェクトでは線路の敷設もプランに組み込まれており、新都市内部の交通だけでなく、新都市と外部を繋ぐ交通網の構築も予定されており、交通網の開通により新都市内部に誘致された企業による人材募集のみでなく、都市間の流通や交通がこの都市に様々なチャンスをもたらすことになるでしょう。
同新都市計画では既に数多くの海外からの技師を招聘し、設計段階から国際協力が盛んに行われている他、日本のいくつかの企業とも既に投資プロジェクトが進められているそうです。
日本では度々、「ニュータウン」と呼ばれる新興住宅地が建設されますが、さすが中国は一つの都市を丸ごと作り上げてしまうという、もはや「ニュータウン」ではなく「新都市」と呼ぶべき規模のプロジェクトが遼寧省のみでも33ヶ所で進められています。
こうした都市化の良し悪しを論じることよりも、この中国のエネルギーが正に世界中の人々を引き付けてやまない魅力の一つなのではないでしょうか。
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