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取材日記(4)

2010-10-14 10:01:02     cri    

 本日は、実際に銅陵市で銅製品を制作している企業を訪ねました。

  まずは、銅陵市遠程芸術品有限責任公司の総経理(社長職に当たる)の藩凌松氏にお話を伺いました。1988年に創業を開始したこの会社は、安徽省の中で最も早く青銅器生産に着手した民間企業です。多くの銅製品の中でも、主に工芸品を制作しています。小型のものは、一般家庭用のオブジェ、大型のものは、銅像、博物館のレプリカ、屋外に設置されるモニュメント、レリーフがあります。これまでに3000種類の青銅製品、1万点以上の彫刻を制作した実績があります。

銅陵市遠程芸術品有限責任公司総経理の藩凌松氏

 こうした工芸品だけではなく、今後はホテルや、銀行の入り口を飾る銅製の門の制作に力をいれていくそうです。

 実際の製品として銅鏡を見せてもらいました。実は、お話を聞くまでは、「銅鏡」は遥か昔の古代のもので、観光客向けのお土産品として、レプリカを販売しているものとばかり思っていたのですが、中国では、現在も記念品、プレゼントとして制作されているそうです。その直径12センチほどの銅鏡は、もちろん鏡として使用できます。背面には、伝統的なデザインに、現代的な要素を取り入れた模様が彫り込まれていました。これは他の銅製品の中で、女性記者に好評でした。

会社のシンボル、金のカタツムリ

 何千年も前のものが受け継がれ、未だに制作され、またその存在価値が評価されているのかと思うと、中国文化の奥深さを感ぜずにはいられませんでした。新しい物が生まれ、古い物が淘汰されていくスピードがどんどん速まっている現代において、銅鏡はしっかりとわが道を貫き、今も現役というわけです。ちなみに、中国では、銅鏡を門の上に飾って魔よけに使用する習慣があるということです。

 技術的なことを聞いてみたところ、小型のものは手作業で行い、昔ながらの制作方法を守っているということです。例えば、レリーフの場合もあまり機械を使用せず、職人さんが自らの手で手間をかけてつくっています。

足元の写真を見ながら、形を整える

シリカゲル溶液をかけ、型をとる

 「これは実際に見てみたい」ということで、ある工房へ向かいました。向かった先は、遠程芸術品有限責任公司と同様に、銅陵市の銅製品制作会社、金蝸牛芸術品有限公司です。蝸牛(カタツムリ)を会社の名前にしたのは、カタツムリがゆっくりと前に進み、後戻りしないことから、「ゆっくりでもいい、常に前進し、いいものをつくる」という会社姿勢のシンボルとして選んだそうです。この言葉を聞いて、経済の発展スピードが加速する中国にあって、なんだかホッとしました。

 広い工房には、一工程を数人ほどの職人が担当し、制作していました。流れ作業ではない、手作業の姿には、なんだか人間らしいリズムを感じました。

半田ゴテを使用し、蠟型を整える

 繊細な模様が透かし彫りになった、高さ15センチほどの丸い香炉のお値段を聞いたところ、1万元(13万円)で思ったより高かったのですが、これだけ手間ひまをかけてつくられる製品が高価なのは当然ですね。

 今回の取材は、「青銅文化の旅」ということで、主に青銅製品の文化と芸術面の取材が中心でした。銅陵市は伝統を経済資源として、しっかり活用している活気のある街でした。 日本で、青銅器の展示会があっても、ほとんどが遺跡や、かつてあった都の名前ばかりが記憶され、説明にも銅陵の名が記載されることは稀でしょう。しかし、銅陵は西周時代から現代まで、「銅の都」として生き続けています。ぜひ、銅製品を見たら、安徽省の銅陵のことを思い出してください。(取材/吉野綾子)

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