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<田邊 潤>感動のパラリンピック開会式
   2008-09-08 15:29:13    cri

 昨日はパラリンピックの開会式をテレビで見ました。3時間を越える素晴らしい表演の連続は、オリンピックにひけをとらない、いやそれ以上の感動でした。超満員の観客で埋め尽くされスタジアムの中で行われた一つ一つの表演は、何らかの障害を持つパラリンピック参加者と同様な障害を持つ中国人の出演者がバレエやピアノ、踊り、歌等でパラリンピック開幕の喜びを表現していて、平和の大切さを伝える奥の深い演出に圧倒されました。

 中でも、聴覚障害を持つ女性ダンサーが両腕にバレエシューズを着けて行う踊りの中、四川大地震で片足を失った少女が車椅子の上で演じる表演には心を打たれました。音楽が聴こえない中、ダンサー達の四方を囲む女性コンダクターの手の合図に合わせて一糸乱れぬ一連の動作を行う女性たちには、この演技のために大変な練習を積んできたのだと感じました。そして、音が聞こえなくとも心は伝えられるというメッセージを強く感じました。クライマックスシーンでは男性ダンサーが車椅子の少女をリフトし、少女が身体を支えられて身体を伸ばして美しく舞いました。私はこの演出が、地震被害を受けた多くの人々への中国の国としてのメッセージを象徴するものに思えました。

 また、盲目の舞台中央のピアニストが奏でる曲に乗って舞台の周囲を囲む大きな円から中国の四季を表現する花や麦の穂が次々と飛び出してくる演出は幻想的でした。そして、私が感心したのは、舞台の後方でずっと一人で公園風のベンチに座っていた普通のおばあちゃんが、演奏後にこのピアニストを抱きしめるシーンでした。このシーンは、目で見ることは出来ない「心」のあたたかさを見事に表現していて印象に残りました。

 ラストの聖火点火は、66mある鳥の巣の天井まで車椅子ごと自力でロープを引っ張りあげて点火するという、これもオリンピック同様の大変力が必要で、苦労が必要な点火方法。途中で息が切れて何度も呼吸を整えながら、必死に点火地点に向かう最終点火者を見て、思わず「加油!」って応援しました。この演出には、障害を持ちながらも自力で逞しく生きて行かねばならないという強いメッセージが感じられ、これにも見ていて胸が一杯になりました。

 北京オリンピックの開会式については日本や欧米でもお金をかけ過ぎると言う意見もあり、このパラリンピックの開会式も派手すぎると思う人もいるかもしれませんが、元来中国人はここぞという晴れの舞台の時には衣装が派手です。中国のテレビでよく流れている各種の音楽祭やカンフーのショーもみんな舞台が大掛かりです。これについては日本のねぶた祭りやアメリカのローズパレードのフロートと同じ感覚なのかもしれません。なので、「世界中の人が集まる開会式だから、これぐらいのことをして歓迎しなければ。」という中国政府の強い意気込みに加え、その演出に雑技的な内容も加えていることに、いかにも「中国らしいアピール」というものを今回も感じました。  

 前回のコラムで書いた「中国人はオリンピックでしたことと同じレベルのことをパラリンピックでも見せてくれる。」と言う予想通りの展開。さらに、開会式全体に「暖かな心のふれあいと助け合いの精神」というテーマが流れていて、私はテレビを見ながら思わず涙が出ました。この開会式は日本にすべての映像が流れないかもしれませんが、本当に見事でDVDが発売されたらぜひ買って帰ろうと思っています。

 【プロフィール】

 1957年生まれ         早稲田大学教育学部卒 筑波大学体育研究科大学院修士課程修了
                    専門スポーツは陸上競技
                    早稲田大学本庄高等学院 教諭 
                    早稲田大学スポーツ科学部講師
 2008年4月ー2009年3月  早稲田大学から北京大学への交換研究員

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