北京オリンピックはすでに閉幕しました。「より高く、より速く、より強く」と人間の限界に挑戦する選手たちは、観客にとってヒーローです。これらのヒーローたちの中に、アメリカの競泳のフェルプス選手がいます。彼は、北京大会だけで8個の金メダルを取り、世界記録を7回塗り替えました。しかも、ほとんどの種目は、余裕をもって勝ちました。ただし、男子100mバタフライで、フェルプス選手にとって、セルビアのカビッチ選手は最大なライバルとなりました。
8月16日。競泳会場の国家水泳センター。男子100mバタフライの決勝が行われました。この大会で8個の金メダルを取るとと宣言したフェルプス選手は最も注目されていました。すでに6個の金メダルを手にした上、最後に出場する400mメドレーリレーをアメリカが有利で、7個目の金メダルとなるこの男子100mバタフライは8個の金メダル獲得の実現にとって、最後の障害となりそうです。しかし、この男子100mバタフライはフェルプス選手にとって、金メダルを取るのは最も難しい種目です。彼と並ぶ力を持つ選手は2、3います。
そのうちの一人が、カビッチ選手でした。カビッチ選手は、1次予選と2次予選とも、フェルプス選手を抜いて1位のタイムを記録しました。また、1次予選で、オリンピック記録も塗り替えました。
いよいよ決勝です。スタートのブザーとともに、8人がプールに飛び込みました。前半で、フェルプス選手はかなりリードされ、折り返しの時点では、まだ4位でした。このまま行けば、フェルプス選手は7個目の金メダルを逃すのかもしれないと皆が心配する中で、フェルプス選は全力で追いました。2人を抜いた後、カビッチ選手とほとんど同時に、フィニッシュ。スクリーンには、フェルプス選手の勝ちが表示されました。わずか、0.01秒の僅差でした。このわずかな差が、二人の天才を、天とちの差に分けてしまいました。フェルプス選手は、7個目の金メダルを獲得しました。カビッチ選手は、初のオリンピック金メダルをタッチの差で逃しました。しかし、カビッチ選手は、フェルプス選手に負けないほどの歓声と拍手を受けました。運がなかったなと残念がる人が沢山いましたが、カビッチ選手本人はこの銀メダルに満足した様子でした。彼は、「忘れられない競技だった。私はこの試合で最も輝き、最も実力を発揮できた。8個金メダルを目指すフェルプス選手に大きなプレッシャーをかけたと思う。この成績に満足している。これは、今回の大会でセルビアが獲得した初めてのメダルだ」と語りました。
カビッチ選手は、すでにフェルプス選手との次の対戦を考えています。彼は、「今回は、わずか0.01秒の差でした。次の対戦を期待している。その時は、彼は、今日のようにラッキーではないと思う」と語りました。
競泳会場の国家水泳センターでは、世界記録が次々に生まれています。カビッチ選手は、またここで泳ぐのを楽しみにしています。カビッチ選手は、「国家水泳センターは、私が見た水泳場の中で最も綺麗で完璧な水泳場だ。中国人の作り出した奇跡だけではなく、世界スポーツ界の奇跡とも言える。また、ここで泳ぎ、好成績を挙げるを楽しみにしている」と語りました。
カビッチ選手にとって、北京オリンピックまでの戦いは険しいものでした。4年前のアテネオリンピックで、カビッチ選手は、世界記録保持者として、出場しました。フェルプス選手と接戦になるのではないかと期待されていましたが、準備不足の上、新型の水着に慣れていないため、決勝にも進出できませんでした。そして、4年後の北京オリンピックで、フェルプス選手と競う夢を実現し、カビッチ選手にとって初めてのオリンピックメダルを獲得しました。このため、カビッチ選手は、北京オリンピックに対して、特別な感情を持っています。彼は、「北京オリンピックは、素晴らしい。行き届いた運営で、私たちは気持ちよく競技ができた。北京は、私にいい印象を残した」と語りました。
セルビアのカビッチ選手は、アメリカのカリフォルニア州生まれです。2重国籍を持つカビッチ選手は、アメリカで暮らし訓練を受けていますが、16歳の頃、セルビアを代表して国際大会に出場するとを決心しました。彼は、自分が銀メダルを獲得したことでセルビアの国民が水泳への関心を高めることを望んでいます。彼は、「水泳は、セルビアでは人気のない種目で、関心を持つ人も少ない。でも、私と私の仲間の努力で、より多くの人が水泳に興味を示し、親しんでもらえればと思う」と述べました。
カビッチ選手とフェルプス選手のトップレベルの戦いが一段落しましたが、このような感動的な試合がこの後も次々と見られることでしょう。「より高く、より早く、より強く」という人間の限界への挑戦はさらに続いていくことでしょう。
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