G20金融サミットは15日、首脳宣言を採択し、「協力を強め、経済成長の回復に努め、世界金融システムの必要な改革を実現させる」ことで合意しました。

　宣言は、「国際金融危機の厳しいチャレンジに直面し、関係諸国は経済成長を刺激し、金融機関の資本状況を改善し、貯金と預金を保護し、監督管理面の不足を補い、貸付市場を緩和させるため、一連の重要な行動をとっている」として、IMF・国際通貨基金や世界銀行および他の開発銀行が金融危機対策でより積極的な役割を果たし、インフラと貿易融資分野で新たな貸付メカニズムを導入するよう期待を述べました。

　宣言はまた、「金融市場がグローバル化になった今日、各国の監督管理当局は自らの職務を果たすと同時に、国際協力を強化し、市場での競争とイノベーションを支援し、金融市場の透明度と監督管理体制を強め、すべての金融市場、製品および参加者がいずれも管理と監督を受けるようにすべきだ。各国は国際的な活動準則に基づき、世界金融市場の信用を保ち、不法操作や詐欺、乱用行為などを防ぎ、金融リスクを防止していく」と述べ、「金融が不安定な時期に保護主義や障壁の設置、輸出制限措置の設置およびWTOの規定に合わない輸出刺激措置の実施などに反対する」と強調しました。

　中国の胡錦涛国家主席はサミットで、「全力で協力し、共同で困難を乗り越える」と題したスピーチを行いました。胡錦涛主席は、「現在、国際金融危機は局部から全世界へ、先進国から新興国へ、また、金融分野から経済分野へと広がり、世界各国の経済発展と人民の生活に大きな影響を及ぼしました。この金融危機発生の原因としては、マクロ的経済政策が適切でなかったこともあるし、金融面の管理・監督が不足だったこともあります。これに対して、正しい認識がなければ、教訓を汲み取り、今後二度と発生しないように防ぐことができません。金融危機に効果的に対応するため、世界各国は自信を強め、緊密に協力をとらなければなりません。」

　胡錦涛主席は、「現在、あらゆる必要な措置を講じて、一日も早く市場への信頼を回復させ、金融危機の蔓延を防ぐことが急務となっている。先進国は担うべき責任と義務を背負い、自国それに世界の経済と金融の安定と発展にプラスとなるマクロ経済政策を実施し、投資者の利益を守るべきです。これと同時に、各国はマクロ経済政策に関する協調を強め、経済・金融に関する情報交流を拡大し、国際金融監督管理面の協力を強化し、各国と国際金融市場の安定に必要な条件を作るべきです。」

　「経済成長を保つことは金融危機対策の基礎といえます。各国はマクロ経済政策を調整し、必要な財政、通貨手段を通じて、経済成長を積極的に促すことによって、世界的な経済後退を防ぐべきです。また、それを実現するために、各国が共同で措置を講じ、国際的なエネルギー・食糧市場を安定させ、投機活動を取り締まり、世界経済の発展によい条件を作らなければなりません。特に、各種の貿易・投資保護主義を防ぎ、ドーハラウンド交渉が早期進展を遂げられることを推進していくべきです。」

　胡錦涛主席はさらに、「国際社会はこの金融危機の教訓を真剣に汲み取り、十分協議を重ねて、国際金融システムに対して必要な改革を行うべきだと思います。第一に、国際金融監督管理面での協力を強め、国際監督管理体制を整備すること。第二に、国際金融機関の改革を推進し、発展途上国の国際金融機関での代表性と発言権を高めること。第三に、地域的な金融協力を支援し、地域的な金融救済体制の役割を十分発揮させること。第四に、国際通貨システムを改善し、国際通貨システムの多元化を推進することです。」

　胡錦涛主席はこのように述べた上で、また、「経済のグローバル化が進む中、世界各国の経済・金融関係は日増しに緊密になっています。この金融危機は先進国の金融市場に大きな衝撃をもたらしただけでなく、多くの発展途上国も影響を与え、それに、この影響はさらに拡大していく傾向があります。このため、国際社会は金融危機に対応する際、発展途上国特に後進国へのダメージの減少に配慮すべきです。発展途上国の金融安定と経済成長に助け、発展途上国への支援を確保し、発展途上国の経済・金融安定を守るべきです。」

　胡錦涛主席は、また、中国の現状に触れ、こう語っています。「国際的な金融危機で、中国の経済発展にも影響があります。中国は情勢の変化に応じて適時に政策を調整し、マクロ調整を強め、経済の比較的急速な成長の勢いを保っています。中国経済発展の基本的な情勢は変わっていません。これこそ、国際的な金融安定を保ち、世界経済の発展を促すための重要な貢献と言えることでしょう。中国政府は今後も引き続き効果的な措置を講じて、マクロ調整を強化し、内需とりわけ消費の需要を拡大していきます。これと同時に、経済発展方式の転換に力をいれ、経済構造を調整し、農業の基礎的な地位を打ち固め、農民の所得増加を実現させます。改革を深め、開放を拡大し、経済の安定かつ急速な成長を保ち、世界経済の安定に建設的な役割を果たします。」

　胡錦涛主席は、「中国は責任ある態度で、国際的な金融安定を保ち、世界経済の発展を促すための国際協力に参加するとともに、国際金融機関が国際金融市場の変化に応じて融資能力を高め、金融危機に影響された発展途上国への支援の拡大を支持しています。われわれは世界銀行の国際金融会社貿易融資計画に積極的に参加するつもりです。」

　胡錦涛主席は発言の最後に、「国際金融市場の安定と世界経済の持続的な発展は、世界各国と各国人民の福祉にかかわる大きな出来事です。各国が全力で協力し、共同で困難を乗り越え、国際的な金融安定を保ち、世界経済の発展を促すことに寄与するよう」呼びかけました。