2008年の幕開けと共に、中国はこの50年でもっとも深刻な雪害に見舞われ、5月に入ってから、マグニチュード8の大地震が起き、甚大な被害を受けました。一方、アメリカのサブプライム・ローン問題や原油やその他の生産資料のコスト上昇などの世界経済の動きも中国に大きな影響を与えています。
こうした中、中国経済の成り行きにどのような変化が見られたのでしょうか。国家情報センターのチーフエコノミスト・祝宝良氏に話を聞きました。
今年の上半期、中国経済の成長率は10.4%で、消費者物価指数の上昇幅は7.9%となっています。世界各国に比べると、依然として速い成長率を保っているものの、これまで、11%や12%台のスピードを保ってきた中国にとって、以前に比べると、著しい下降となりました。これは、中国経済が高度成長から下降期へ向かうサイクルに入ったことを意味するのでしょうか。
これに対して、祝氏は、中国経済のスピードダウンは、マクロ規制の予期に合致したものだと指摘しています。国家統計局の李暁超報道官も、記者会見で、「経済成長が"やや早い"からオーバーヒートになることを避けることは、去年の中央経済活動会議と今年の全人代で確認した目標の一つである。これを実現するため、中央政府は貨幣、税収、貿易、土地など各項目を盛り込んだ政策を導入した。経済の成長が下落したのは、これらの政策が功を奏したとも言える。このことは、マクロ規制の予期目標に合致している」と述べました。
また、中国経済の成長幅は下落しているものの、下落幅が安定しているということも指摘されています。今年の第一四半期は、昨年同期より1.1ポイント、去年の第四四半期より0.7ポイントそれぞれ下落しているのに対し、今年第二四半期は、去年同期より2.5ポイント、第一四半期より0.5ポイントそれぞれ下回っています。全体的に見ると、経済成長が緩やかになったものの、大きな起伏は起きていないと祝氏が指摘しています。
祝氏はまた、中国経済が依然として、早いスピードを保っていることを指摘しました。「第二四半期の経済成長率は10.1%であり、改革開放30周年以降の平均成長率より0.3ポイント高い。工業化、都市化のプロセスが急速に展開している中、長期に見ると、中国経済は発展していくという勢いが変わることなく、依然として原動力と活力に富んでいる。」
祝宝良氏は、今回の調整により、中国経済がすでに正常値に戻り、オーバーヒートするリスクは一部解消され、実質的な成長能力は潜在的な成長能力にほぼ近づいてきたと見ています。
最近、中国経済に現れた新しい変化について、祝氏は「構造調整に積極的な変化が現れている」と注目しています。
「需給構造では、輸出と投資に過度に依存している構造が変わりつつあり、消費の伸びによる経済促進効果が強まりつつある。投資と消費の関係が一層改善された。上半期では、都市部の固定資産投資の伸び率と社会消費財の小売額の伸び率に比べて、5.9ポイント減った。」
また、エネルギー消費量の高い産業の伸び率は昨年同期より5.6ポイント下回っているものの、ハイテク製造業の伸び率は昨年同期より0.5ポイント増えました。
地域別では、1月から5月まで、西部、東北、中部と東部の四エリアで、年商500万元以上の企業の売り上げはそれぞれ、19.25%、18.77%、20.84%、15.71%伸び、西部、北東、中部は東部地区よりは早いスピードを見せています。
また、経済効果の面では、各種の経営コストが大幅に上昇した中、企業の利益が下降したものの、1月から5月まで、年商500万元以上の工業企業の利益は10944億元となり、昨年同期より20.9%伸びています。上半期、財政収入と都市・農村部の住民の収入はいずれも比較的高い伸び率を保っており、とりわけ、財政収入の伸び率が最近、継続的な成長を保っている上、上半期の伸び幅も30%以上となっています。(整理:Yan)
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