アカシアの町・大連。
この町が、ソフトウェア産業の発展を始めたのは、今年でちょうど十年になります。当初はゼロからのスタートでしたが、ここ数年、ソフトウェアの販売収入と輸出額は年平均それぞれ、45%と50%以上の伸びを保ち、2007年の輸出総額は中国国内では深せん、上海につぐ第三の都市にまで食い込んでいます。
6月20日から22日まで、この大連で年に一度の国家クラスのソフトウェア・情報サービスの商談会、「中国ソフトウェア交易会」が開かれました。この交易会は、2003年から大連で開かれ、今年は6回目の開催となりました。
大連市の夏徳仁市長は開幕式の司会をし、交易会の開幕を宣言しました。
今年の交易会では、40以上のフォーラムや会議が開催され、また、このほか、3万平方メートルに及ぶ展示会場には、全国各地から省、市を単位とする30団体が出展したほか、インテル、IBM、日立などを始め、内外のIT企業数百社が出展しました。
大連のソフトウェア産業は、とりわけ、海外のソフトウェア開発会社からの委託業務、つまり、アウトソーシングが大きな特徴となっています。中でも、日本市場からの委託は全体の6割以上を占めており、日本企業と密接な連携を結んでいます。一方、日本側にとっても、大連が重要なアウトソーシング先になりつつあります。
大連の魅力はどこにあるのか、また、この交易会に参加して、一番の狙いはどこにあるのか、出展した日立製作所、JETRO上海センター・愛知経済交流部、神奈川県大連事務所の代表者の皆さんにお話をうかがいました。中国での販路拡大、または、製品開発のコスト削減のために、出展したところもあれば、中国から日本への投資をひきつける目的で参加したところもあります。「日本語人材が豊富で、日本企業に対して、高感度が高い」などが大連の魅力だとされています。
さらに、今回の交易会で、日本企業にとって、もう一つ注目される動きがありました。それは、中国初の個人情報保護制度、大連ソフトウェア産業協会の運営するPIPA制度と日本のプライバシーマークの相互承認で調印をしたことです。大連は、とりわけ、中国国内での初めての個人情報保護は、大連から始まったところに、大きな誇りを持っています。
今回の交易会には、日本、韓国、オーストラリアなど世界各国の政府関係者も出席しました。日本の山本かなえ経済産業大臣政務官は、スピーチの中で、個人情報保護、IT人材の交流、地球環境に配慮したグリーンITという三項目における両国の協力強化を提案しました。交易会の会場で取材した、山本かなえ政務官のインタビューもお聞きいただけます。(王小燕)
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