人々の心は一つ…日本企業が被災地を積極的支援
四川大地震が発生後、日本政府や各団体、それから民間企業も積極的に救援に乗り出しています。
中国に進出している多国籍企業の団体・中国外商投資企業協会投資性公司工作委員会は翌13日から会員企業に向けて募金活動をはじめました。同委員会の楊国華秘書長は、「19日まで、73社(うち、日本企業が24社)から1.4億元の義捐金が集まった。予想を2、3倍上回る金額だった」と述べました。
また中国日本商会は13日から、北京日本人会と共同で義捐金募集を始め、18日までに62社から計140万元が集まったそうです。同会の青山直樹秘書長は、「数多くの法人企業が東京本社で、寄付を決定した。また、四川トヨタやイトーヨーカ堂など、地元に拠点のある企業は募金活動のほか、現物及び飲料水の提供など様々な活動をしている」としています。また日本企業が寄付に意欲的である理由について「地震被害の甚大さは温家宝首相がすぐに現地に赴いたことからも察することができた。日本は地震が多い国で、被災の大変さ、復興の大変さを身にしみて感じている」と語りました。
一方、企業の側はどのような思いで義捐金を送り、また、今回の大地震は中国に進出した日本企業各社の経営活動に影響が出ているのでしょうか。
松下電器は地震発生後、本社ですぐに義捐金1000万元の寄付を決定したそうです。同社中国有限公司の木元哲副董事長は、「中国国内で81拠点に会社があり、9万人の従業員を抱え、年間売り上げが1兆円近くある企業として、社会に対する恩返しをしなければならない」(写真)と語り、「四川に営業所の従業員72人の安否が全部確認できた。ただし、全国81ヶ所の従業員のうち、四川省出身の人が数多くいて、親族の身元確認が出来ていない人もいる」と話しました。
現在、中国で1万3千人の従業員を持ち、日本をも上回る規模の業務展開をしているオムロン中国有限公司は、義捐金3000万円と25万元相当の医療機器を寄付しました。
「日本も地震が多い国で、中国人の方が今、どのような気持ちでいるのか、心が痛む。少しでも役に立ちたいと思って、寄付を決定した」と同社代表の児島浩介氏が言います。なお、オムロン社は四川に営業拠点2箇所があり、社員の安否は確認できたものの、まだ営業が出来ない状態のようです。
今回の地震で合弁パートナーに被害が出た日本企業もあります。
成都でブランチ及び合弁企業をもつ日立中国集団は、「従業員は全員無事で、生産設備等々にも被害が出ておらず、地震の翌日から生産が再開できたが、合弁パートナーの中国側企業の工場は地震で大きな被害を受けている。日立と密接な関係にある工場なので、これから生産支援などで色々工夫したい」と同社の長野晄史総代表が語りました。
「日立グループは1970年代から中国にお世話になっている。これだけ多くの被害が出た今回の災害に対し、長年、ともに仕事をしている企業として、そして古い友人として復旧活動に役立ちたい」。
長野総代表によりますと、日立グループ全体で800万元相当義捐金と建設機械を寄付したほか、グループ各社や従業員個人の寄付も継続的に行っているということです。
震災発生後、成都に職員を派遣し、被災地が一番必要な支援についてリサーチをしてから、寄付の内容を決めたという日本企業もあります。
「民生局や建設委員会など関連機関5箇所の意見を聞き、最終的に、現金600万元と400万元相当の建設機械の寄付を決めた」(写真)と小松製作所中国事業管理部の島本伸之部長が言います。
同社は中国との付き合いは1956年にさかのぼり、これまでに中国の国営メーカー9社と提携を結んだことがあります。
「中国経済の高度成長の勢いにのり、小松はホイルローダーなどの製造・販売で、中国で多くの利益を得ているが、それを中国の社会に還元したい。」
さらに、修理に直ちに対応できるよう、四川にある代理店2社とも打ち合わせをし、チーム体制を整えたと言います。
島本部長は「一刻も早く、また元の自然豊かな四川省に戻れるように、グループを挙げて支援していきたい」と願いを語りました。
なお、そのほかの日本企業も被災地の住民を励ますメッセージを寄せてくれました。
「震災からは必ず復興するという強い気持ちを持って、がんばっていただきたい」 「被災された方がたはぜひとも気持ちを強くもって、苦難を乗り越えていただきたい」 「未曾有の大災害なので、あらゆる国、あらゆる人々ができるだけの支援をし、被災地の皆さんに役立てたい」
日本企業の意欲的な支援は多くの北京市民から好意的に受け止められています。ある北京市民は「天災は避けることのできないことだが、天災を通じて、中国人だけでなく、世界中の人々の心が一つであることを実感している」と語っています。(王小燕)
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