ところで、玩具やアクセサリ以外に、人々が熱いまなざしを注ぐねずみ年の商品は、なんと言っても記念金貨です。記念金貨は数が限られている上、一枚一枚にテーマがあり、そして、美しい図案も彫られているため、ねずみ年に因んだ金貨や金の延べ棒が人気を呼んでいます。
品揃えの豊富な貴金属商品で有名になった北京の菜市口デパートは、6年前の羊年から毎年、その年の干支に因んだ金の延べ棒を発売しています。以前、一グラムが92元だった金の値段は今や、一グラム219元に高騰し、投資者の関心をひきつけています。一方、発売総数はこれまで、毎年、4トンでしたが、今年は3トンに抑えたため、発売するや否や、人々が殺到して行列を作り、一人当たりの購入数を制限せざるを得ませんでした。
ねずみ年に生まれた李中仁さんは、中国の国有企業で働いています。この日、李さんはねずみ年の記念金貨をワンセット買いました。年男になった記念と投資と収集のために買ったと李さんは言います。
「たしかに結構な値段でした。しかし、とても価値のあるものだと思います。もちろん、私はねずみ年なので、この金貨で良い運勢をもたらしてほしいとは思いますが、このほかにも、これはとても良い投資になるからです。というのも、株の投資はリスクが大きい。ファンドの投資はリターンが低い。それらに対して、黄金はいつの時代でも価値が下がることはありません。現にその価値は上昇し続けているので、最近は主な投資対象を黄金にしました。」
純金だけではなく、金のメッキを施された記念品も人気です。インターネットで電子ショップを経営しているオーナーたちは相次いで金メッキの工芸品に注目しました。
ネットショップの経営者・高鵬さんに話しを聞いてみました。高さんは、以前、干支に因んだ土産品にはそれほど注意を払っていませんでしたが、去年の干支、中国では豚年ですが、その金の豚をモチーフにした工芸品が市場で人気を集めて以来、自分も高額の資金を投資して、金メッキのねずみの工芸品を仕入れました。今のところ、これらの工芸品は良く売れているそうです。
「今年は金のねずみが良く売れています。種類が色々ありますが、中でも、一番高い商品、看板商品でもありますが、一個900元(約1万4000円)する金の招きねずみです。割高ですけど、金のねずみが気に入っているお客さんが結構いますよ。金色は富の色で、尊い色でもあります。中国では、ねずみは油を盗むという言い伝えがあり、油の色も金色なので、富が絶え間なく転がり込んでくる意味が込められています。」
高さんの話によりますと、この金のねずみを自分のために買う人もいれば、クライアントへのお土産として買う人もいます。これまでの一ヶ月で、彼は30個の金の招きねずみを仕入れましたが、ただちに売り切れて、たくさんの利益を手に入れることができました。今、新しい商品を仕入れようと考えているところです。
一方、ねずみをモチーフにした商品だけではなく、モルモット、ハツカネズミ、ハムスターなどネズミ科のペットも人気が出ています。ペットショップの経営者の話では、今年は例年に比べて、ネズミ科のペットの売れ行きがよくなっているということです。これに関連して、ペット用のハウスや玩具、様々なペット用品などの売れ行きも増えています。
今年9歳になる小学生楽楽さんの話です。
「ネズミ年が来たので、ママにハムスターを2匹買ってもらいました。とても面白いです。毎日、私が体を洗ってやり、えさをやっています。」
中国経済の高度成長に伴い、毎年の年末年始は、その年の干支に因んだ商品開発が盛んになっています。中国人にとって、これまではそれほど良いイメージのなかったネズミさえも、巧みな商品開発とデザインチェンジにより、市場で人気を博しました。ビジネスに対する情熱と知恵はにじみ出ていると言えます。(整理:Yan)
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