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中国のスキー産業、誕生から新たな飛躍へ
   2008-01-28 10:00:54    cri

 【1990年代半ば、スキーが大衆スポーツとして登場】

 大衆スポーツとして、スキーが中国に登場したのは、1990年代の半ばでした。1994年、中国は二年後に開く第三回アジア冬季競技大会の主催権を獲得しました。これがきっかけとなり、ハルビンから約200キロ離れたヤブリという場所でスキー場の整備が行なわれ、中国で一般大衆向けのスキー場が初めてオープンしました。

 それまで、スキーは中国ではプロの選手たちのスポーツで、主として、東北三省の選手、コーチ、体育学校の生徒及び彼らの知り合いや親戚しかする人がなく、スキー人口は500人を下回るという状態でした。しかし、ヤブリにスキー場ができてから、一年目で利用者は延べ2万人を超えました。

 冬季アジア大会の開催とスキー場の整備がきっかけになり、中国でスキーが急速に普及し始め、現在、全国各地のスキー場は約300ヶ所に達していると見られています。スキー人口は年々倍増する勢いを見せており、2010年までには1000万人を超えると見込まれています。

 【1999年の冬、北京でスキー神話が誕生】

 北京に最初のスキー場が誕生したのは1999年、中国で大型連休が始まった年でもありました。

 それからの約10年間に、スキー産業は北京でどのような発展を遂げたのでしょうか。先日、懐柔区北部にある懐北スキー場で取材してきました。

 湖が近くにあり、夏の景観も美しく、万里の長城が真上に眺められる懐北スキー場は、2001年1月、北京で三番目に開業しました。ゲレンデの長さが3800メートルで、落差238メートル、初級(4)、中級(1)、高級(2)の計7本のゲレンデからなっており、北京のスキー場で最もコースが長く、規模の大きいスキー場でもあります。

(李迎霞さん)

 黒竜江省チームの選手を退いた後、5年前、インストラクターになった李迎霞さん(40歳)は、最近のスキー人口の拡大を喜んでいます。

 「客層は3歳半から50歳まで。現役の頃、中国ではスキーは一般の人のやるスポーツではなかったが、最近は会社の社内旅行でスキーしに来るぐらいになっている。嬉しい変化だ。週末や連休になれば、スキー客は一日で3000人や4000人ほどに達する日もある」

 懐北スキー場の総経理・王世同さんは元ジャーナリストで、北京のテレビ局でドキュメンタリーの撮影をしていました。ハルビン近くのヤブリで初めてスキーをして以来、これにはまり、とうとう、仕事をやめて自らスキー場の経営者になりました。スキー産業の中国での誕生とその勢いについて、王さんはこのように紹介してくれました。

 「1990年代半ばになると、国の経済が勢いよく成長して、中国人の生活レベルも高まり、人々は余暇の過ごし方を工夫する余裕が出てきた。人口雪を作る技術や設備も向上した。こうした中、1999年、北京初のスキー場・石京龍が開業した。氷祭りで知られる龍慶峡に行く途中にあるため、氷祭りに行くついでにスキー場を訪れて帰る人が大勢いた。また、それまでスキーはヤブリでしかできなかったスポーツだったが、北京でも滑れるようになったことで話題になった。石京龍は旧正月の連休中、一日の営業収入が60万元に達した日もあり、スキー産業の神話とされていた。巨額の利益にかられ、その後、北京で相次いでスキー場が整備された。規模の小さなところも含めると、一時期16ー17ヵ所にも達した。スキー客も急増した。懐北の場合は一年目は5万人、二年目は8万人、三年目は10万人に達した。」

 【現状:スキー場の急増で客が伸び悩んでいる】

 ところで、幸先の良いスタートを切り、順調な成長を保っているように見える北京のスキー業界は、最近、来場者が伸び悩んでいるようです。スキー場の数も今や13ー14箇所に減りました。

 北京では、スキーツアーはスキークラブやアウトドアクラブ、もしくは旅行社を通して申し込むケースがほとんどですが、アウトドアクラブ「コンパス」を経営している杜剛さんに話を聞いてみました。

 「前の年と2年前はピークだった。毎シーズン、私の会社を通して送り込んだスキー客は5000人ー6000人に達していた。しかし、今シーズンは私たちは個人向けのスキーツアー市場をあきらめた。儲けが少ない上、良いサービスが期待できないところが多いからだ。」

 懐北スキー場の王総経理は、2年前まで10万人に達したすキー客は現在、8万人で横ばい状態だと言います。

 「当初は巨額なリターンにかられて、雨後の筍のように整備されてきたスキー学校は、増えすぎたため、低価格競争の泥沼に追いやられた。スキーは冬しかできないスポーツで、北京の場合、90日間しか営業できない。そのため、集客力が勝負になっている。

 客寄せのため、スキー場は様々なエージェントと契約を結び、正規値段より遥かに廉価な価格でチケットを提供している。現在は正規値段も有名無実になっている。」

 懐北スキー場の正規のスキー券は一日380元ですが、現在、市場で実際に取引されている価格は140ー180元。低価格競争と過剰な集客で、去年あたりから、スキー場にまつわるマイナス的な報道が時たま目にします。つい先日も、あるスキー場はあまりにも大勢の入場者が一気に殺到したため、やむを得ず、その場で700人に入場券を全額払い戻しをしていたという騒ぎがありました。スキー場とエージェントの契約では、人数が多ければ多いほど提供価格が安くなるため、人寄せのために、大手エージェントがインターネットなどを通して、さらに小さな代理店などを通して客を集めいてたからです。

 「価格競争は皆の利益を損なっている。それよりもサービスの質を向上させることが大事だ」、と王さんは懸念しています。

 【朝日産業にかける期待、初心者向けの教育に着手】

 民間企業の投資により、盛んになったスポーツなのに、スキー場の管理規定やインストラクターの認証制度など制度の整備が立ち遅れており、またスキーの新しい技術や教え方の研究も不足しています。このほかにも、初心者向けのスキー教育が立ち遅れたことも要因の一つだとされています。

 「スキーは安全に気をつけなければいけないスポーツなのに、インストラクターについて習う必要があるという意識がまだ薄い。初めて滑りに来る人が今後も続けて来てもらうには、何よりも彼らにスキーの楽しさを味わってもらう必要がある。今まで、私たちはそうした努力を怠っていた」と王総経理はこう振り返ります。

 今シーズンから、懐北スキー場は新しい試みを始めました。初心者向けの15分無料レッスンのほか、土日はインストラクターによるデモンストレーションで、スキーの美しい滑り方を見せるようにしています。

 「もっと大勢の人にスキーのきれいな滑り方、また、スキーの楽しさを知ってもらいたい。こうすれば、スキー愛好者が増え続ける」。王さんは問題の根源に気づいて、取り組みを始めた北京のスキー場が多いと言い、「北京のスキー産業は今、新しい段階に入るための準備をしている」と楽観視しています。

 北京以外の地域では、東北三省だけでなく、その隣の内蒙古自治区、あるいは、北西部の寧夏ホイ族自治区の銀川、西南部の四川、中部の湖北、河南、東部の山東省にいずれもスキー場が急速に増えつつあります。

 「スキーは『朝日産業』(成長しつづけている産業)。何せ、北方の中国では、スキーは冬でできる唯一のアウトドアスポーツだからだ。いばらの道もあろうが、それが少なくて済むよう頑張りたい」。

 (取材、文:王小燕)

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