今年は中日国交正常化35周年に当たりますが、過去の35年間を振り返って、ひと言で中日関係を総括すると、どんな言葉を思い浮かべますか。「一衣帯水」とか、少し前に流行っていた「政冷経熱」とか。でも、最近の中日関係と言えば、「戦略互恵」という言葉がよく出てきます。
「戦略互恵」という四文字の言葉は、日本の安倍前首相が去年10月、日本の首相として5年ぶりに中国を訪問した際、記者会見の中で述べたもので、今年4月、温家宝首相が訪日した際に、両国首相が発表した共同コミュニケの中にも登場しました。この四文字は中日関係が将来を見据えた新たな次元に引き上げられたことを物語っていると思います。その現実を経済の視点からどう見れば良いのか、日本駐在中国大使館の呂淑雲商務公使にお話を伺いました。
「戦略互恵」という新しい次元に入った中日の経済関係にはいったいどんな特徴があるのか、呂公使は次の 四点にまとめていました。
「第一、中日両国はお互いに重要な貿易パートナーであること。第二に、中日間の経済貿易の依存度が日増しに高まっていること。第三に、貿易協力の規模が絶えず拡大し、発展スピードが絶えず加速していること。第四に、投資が貿易の成長を促していることです」
まず、貿易の方から見てみましょう。日本経済産業省のデータによりますと、1990年、日本の対中貿易は対外貿易総額の僅か3.5%でしかなかったのが、2006年には17.65%まで伸びました。
一方、投資の分野では、2000年、対中投資は日本の対外投資総額の僅か2.98%しかなかったのが、2005年には14.5%まで伸びて、5年間に5倍も増えました。
また、1993年から2003年までの11年間は、日本が中国最大の貿易パートナーでしたが、2003年以後、欧米の対中貿易が急速に増え、日本はアメリカやEUに次ぎ、中国にとって三番目の貿易パートナーとなりました。呂公使の話によれば、ここ数年の間に、中国と日本の経済には二つの逆転現象が現れました。
「日本の対外貿易対象国のうち、中国とアメリカが逆転しました。つまり、中国がアメリカに取って代わって、日本の最大の貿易パートナーとなりました。一方、中国の対外貿易対象国では、日本とアメリカが逆転しました。アメリカが日本の地位に取って代わって一番となったのです」。
確かに5年前の2002年、中国はアメリカを抜いて、日本の最大の輸入先となりましたね。また、日本経済産業省の統計によりますと、2006財政年度(つまり2006年4月から2007年3月まで)、日中間の貿易額はアメリカを超え、中国は日本最大の貿易パートナーとなりました。
一方、いま、日本は中国にとって最大の輸入先、四番目の輸出先で、三番目の貿易パートナーであります。中国と日本、いずれにしても双方はお互いに欠かすことのできない重要な貿易パートナーです。
貿易額を見てみると、1972年国交正常化したとき、中日間の貿易額は10億ドルでしたが、国交正常化30周年の2002年、両国の貿易額は1000億ドルの大台を突破し、2006年にはさらに2000億ドルを超えました。2002年から2006年までの僅か4年間で倍増しましたし、2006年は国交正常化した時の1972年に比べると200倍も増えました。驚くべきスピードです。
量の成長ばかりではなく、中日間の経済協力は質的な向上も見せており、協力の分野もどんどん広がっています。これについて、呂公使は次のように紹介してくれました。
「ここ数年、日本の中国に対する投資の分野が絶えず拡大しています。家電製品や紡績製品から、自動車、鉄鋼、化学工業など重工業や装備工業などへと転換しています。中国がWTO加盟の約束を履行し、市場が絶えず開放され、日本のサービス業や保険、物流、金融など、新しい業種もどんどん中国に進出しています。今、中国の長江デルタ地帯、珠江デルタ地帯、東北地方の大連周辺では、日系企業が集中した地区が現れ、日系企業同士の産業チェーンができています。これは中国で投資しているほかの国にはない独特な現象と言えます」
一方、ここ数年、中国の対日輸出は農産物や、伝統的な原材料などから機械電気製品などへと変わっています。いま、対日輸出製品のうち、4割以上が機械電気製品です。(つづく 取材:劉叡琳)
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