中国南部の広西チワン族自治区の中心都市南寧で開かれていた第二回汎北部湾経済協力フォーラムが7月27日、終了しました。今回のフォーラムでは「汎北部湾と中国・ASEAN(東南アジア諸国連合)の自由貿易区」、「汎北部湾の協力メカニズム、産業発展、金融支援」、「汎北部湾の交通、港湾、物流、観光協力」などの議題をめぐって討議が行なわれました。汎北部湾の発展はこの地区だけでなく、世界の注目を集めています。
北部湾は中国南部とベトナム北部の陸地それに中国の海南島に囲まれた半閉鎖的な湾で、ベトナムではトンキン湾と呼んでいる所です。2002年、北部湾の北部に位置する中国の広西チワン族自治区が、広西、広東、海南とベトナムの一部の地区からなる「環北部湾経済圏」の構想を打ち出しました。そして続いて2006年になると、「汎北部湾の経済協力」という構想が提唱され、元の「環北部湾」は、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ブルネイまで広がり「汎北部湾」と名付けられました。
中国全国人民代表大会常務委員会の蒋正華副委員長は数回にわたって汎北部湾を視察したことがあります。記者のインタビューに対して、蒋副委員長は、「汎北部湾の経済協力という構想は、中国の中央政府やASEAN諸国の指導者に認められ、今や重要な実施段階に入りつつある」と次のように語りました。
「ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ブルネイなど汎北部湾地区の国の指導者は汎北部湾の経済協力を支持する意向を明らかにしている。また、関連分野での協力や具体的な協力プロジェクトでも合意した。現在、多くの協力プロジェクトはすでに実施段階に入り、汎北部湾の経済協力は中国とASEANの協力における新しいキーポイントになり、中国・ASEAN自由貿易区の設立に関する全体的な戦略にも盛り込まれた」
また、汎北部湾経済協力という構想を打ち出した広西チワン族自治区の劉奇葆書記は、「すでに中央政府やASEAN諸国の指導者から支持を受けた。次の段階の重要な任務は、協力メカニズムを確立することだ」と次のように語りました。
「国を越えた専門家チームを設立して、協力の戦略的枠組みを作ることが、汎北部湾の経済協力を実施する重要な取り組みだ。現在、インドネシアや、フィリピン、シンガポール、ベトナムなどの国や、ASEAN事務局、アジア開発銀行などが汎北部湾の発展にハッキリと支持を表明した。これらの国や機関から専門家や経済学者を選出した後、優先的に発展させる分野を確定し、協力メカニズムや行動計画を策定し、研究報告を出して協力プロジェクトを指導しなければならない」
汎北部湾経済協力の重点は交通インフラ施設、港湾建設、物流、観光、海洋資源とエネルギーの開発などの分野に及んでいます。「汎北部湾経済協力」という構想を最初に打ち出した地区として、広西チワン族自治区はこの計画の実施に全力を挙げて取り組んでいます。いま、広西自治区は沿海地区に何ヶ所もの現代化された港湾を建設している他、道路や鉄道の整備にも力を入れ、ASEANに向かう海運の国際的交通要所になろうとしています。
今回のフォーラムに出席した中国国家開発銀行の陳元総裁は、「地域経済協力を推し進めるためには資金が重要な条件だ。汎北部湾の経済協力を促進し、この地区に投資や融資のチャンスもたらすため、国家開発銀行はこの地区への金融支援を強化していく」と語りました。
「中国国家開発銀行は汎北部湾地域で、銀行の連合体を設立することを提案する。この銀行連合体は、地域内の各国が指定した金融機関からなり、地域発展ため三つの金融サービスを提供する。それは、この地域と国際金融機関との協力を促すこと。情報交換を強化すること。地域内の多角的大型インフラ協力プロジェクトを支援することだ。銀行連合体の設立はきっと汎北部湾地域がグローバル的な課題に対応するための有力な金融手段を提供する事になるだろう」と語りました。
経済のグローバル化につれて、如何なる国や地区も、閉鎖的な環境で発展を求めることができなくなりました。交流と協力が21世紀の経済発展におけるキーワードです。汎北部湾の経済協力はこのキーワードによるメリットを改めて物語っています。(劉叡琳)
|