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JETRO・日本貿易振興機構北京代表処 柴生田敦夫所長(下)
   2007-05-01 14:15:50    cri

中国進出の日系企業、「黒字経営」が73%に

日本の対中直接投資、産業の重心は非製造業分野に

日中の経済関係、「うまい具合に棲み分けができている」

 Q 日本の対中直接投資の最新の動きはどうですか。

 A 正確な数字は統計を待たなければなりませんが、全体の数字として、これまでの製造業投資については、多くのところで少し一巡したのかなという感じもあります。それから、中国の外資に対する政策の転換もありますので、以前と比べますと、伸び方は若干緩やかになっているように見えます。ただ、そうはいうものの、全体的に「伸び」という面からみると、絶対的な額と水準はまだまだ高いし、やはり日本の製造業にとって、中国が一つの重要な核であるという位置づけには変わりはありません。製造業投資において、中国は依然として、重要な地域として推移していきます。

 また、中国に進出した日系企業が、実際中国で創業し、中国国内で得た内部留保がさらに中国での投資に向けていくという、必ずしも統計には出ていないけれども、実際には投資がなされているという部分もありえますので、そういう点からみますと、全体として、安定的な水準で推移していくと思われます。一方では、額は製造業に比べて小さくはなるが、卸し小売業とか、不動産業とか、リース、ビジネスサービスという非製造業分野への投資は非常に顕著に増加しています。

 これもWTO加盟に伴った市場アクセスの改善とか、中国国内の法制度の整備、それから、中国国内の個人所得の増加に伴って、中国の市場規模が拡大しているというようなこともあり、大都会では、第三次産業、非製造業分野の投資も顕著に増加し、産業の重心が動いています。

 そういうわけで、製造業の分野は、以前に比べて伸びは緩やかになりつつも、安定的に推移しつつ、一方では、第三次産業、非製造分野が堅調に増加しているというのが、日本の対中直接投資の全体の動向を見た時の流れではないかと思います。

 こういう形で引き続き比較的安定的に推移していくと、いろんな環境の変化を見つつ、また必要に応じて、日中の指導者が意見交換をしていくというのが非常に大事ではないかと思われます。

 Q 中国にある日系企業の損益状況はどうでしょうか。

 A JETROが中国に進出した日系企業300社に対して行った調査の結果では、営業損益状況が「黒字である」と答えた企業は、2005年では73%となっています。これは、2004年でも同じような調査を行いましたが、その時は、71.2%でしたので、営業利益を計上している企業が少し増えているということが言えると思います。他方で、営業赤字かどうかということでみると、2004年は「営業赤字だ」と答えた企業が22.6%でしたが、2005年には、18.8%と下がっていますので、全体としては、営業利益の状況は今申し上げたような数字の中で、改善状況にあると言えると思います。

 ちなみに、2006年の全体の見通しでは、営業利益が前年度と比べて、「全体でよくなる」という企業が58%、約6割ぐらいが改善していると言う答えになっています。それに対しまして、「悪化する」と答えた企業は約10%しかありません。全体として、営業損益の状況は改善していると言えると思います。

 Q 日中経済の相互補完性をどう見ていますか。

 A 今、相互補完性が一番良く出ているのは、輸出と輸入の中の構成品目だといえます。今のところ、日本から中国への輸出は、機械類、いろんな意味での電機機械とか、自動車等の輸送機械とかが大きくなっていて、比較的加工度の高いものが中国への輸出の中心になっています。他方、中国からは元々繊維製品が多かったのですが、最近は電気製品、加工組み立て型の製品も増えています。そういう意味で、同じ機械型の製品の中でも、うまい具合に棲み分けがなされていて、日本から中国へ輸出するものと、中国から日本に輸出されるものがうまい形で調整がされています。例えば、日本から中国へは、いろんな機械の部品も出ています。それらの部品が中国の中でいろんな機械の中心となって、組み立てられて大きい機械ができて、それがまた日本に輸出される、お互いの部品や機器をやりとりしながら、一つのものが作られていくとか、そういう形になっています。

 やはり貿易の拡大というのは、お互いの貿易のやり取りの中で、次第に複雑な過程になって、良いものが最終的にできていく。そういう意味では、いわゆる食べ物、繊維とか、そういった形のもの以外にも、機械の中でそういう複雑な過程での相互補完性もありますから、益々いろんな品目の輸出が日中間でなされているので、いろんな形での相互補完性が出来上がっていくじゃないかと思われます。

 Q このような流れは今後もしばらくの間、継続していくと思われますか。

 例えば、より具体的に言いますと、日本から中国への輸出を見ますと、電機機械、一般の機械、化学製品、金属銅製品といったものが多いし、他方、中国からの輸入を見ますと、機械・機器、電子機器が増えています。同時に、繊維製品、食料品とか、そういうような原料品も多いですから、やはり、いろんな形で原材料的なものの輸入、もしくは繊維製品のような形での輸入、それから、機械の加工組み立て過程では、より複雑な形での部材のやりとりをする中で、互いに加工度を高めていく、一つの製品を作り上げていくという、この流れは当面続いていくと思われます。(聞き手:王小燕)

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