春節が近づくにつれて、野菜などの農産物の値上がりが今、ホットな話題となっています。中国は日本と違って、野菜などの農産物はほとんど重さを測って売っています。確か今、白菜は1キロ0.7元で、日本円ですと10円。キュウリは1キロ2元ぐらい、日本円の30円です。このお値段はとても安いなぁと思っている日本の方がいるかもしれませんが、しかし実は、今年、北京市の野菜価格は9年ぶりの高値を記録したということです。
今年は暖冬のおかげで、全国各地の野菜は豊作だったと報道されているのに、なぜ、価格がかえって高くなったのですか。この問題について、このほど、北京市の南の郊外にある新発地農産物卸売り市場を取材してきました。
新発地農産物卸売り市場というのは、「新しい」の「新」に、「発見」の「発」、「地球」の「地」と書くのですが、北京市最大の農産物取引市場ですね。北京市野菜価格のバロメーターとも呼ばれるこの卸売り市場では、毎日、900万キロ以上の野菜が売買され、北京市野菜取引総量の6割以上を占めているということです。白菜やナス、トマト、キュウリ、青梗菜……冬でも、80種類以上の新鮮な野菜がそろっています。
野菜価格が上昇したとなると、野菜農家や卸売り業者が儲かったんではないですか。実際はそうではないみたいですね。白菜を販売しているある農家に聞いてみました。
野菜農家によりますと、今年は暖冬で、豊作でした。しかし、野菜の出荷量が増えたため、いい値段にはなりませんでした。また、農薬代金や電気代などが、いずれも値上がりしました。その上、輸送コストや市場の管理費用などが、去年より20%近く伸びたため、、農家にとっては、儲かるどころか、損まで出してしまったということでした。野菜農家にとって、野菜価格はその一家の生計に関わる重要な問題ですね。寒い真冬に、氷点下の気温の中で、毎朝夜明け前から起きて野菜の売買を始めるなんて、たいへんですよね。
ところで、日本ですと、みんなよくスーパーを利用して野菜などの農産物を買っていますが、中国では、人々はやっぱり農産物市場へ行きます。では、野菜などを買うとき、北京市民はなぜスーパーより、農産物市場を愛用するのか、市民にも話を聞いてみました。
「高くて、新鮮ではない」、これはインタビューしたほとんどの北京市民がスーパーで売っている野菜に対するイメージです。でも、多くの市民は、「スーパーの野菜は衛生的で、信用できるし、安心して食べられる」とも評価していました。
市場にしても、スーパーにしても、新鮮で安くて、安心して食べられる商品が提供できれば、どこで買っても構わないと思うのですけどね。いずれ、日本のように、スーパーが徐々に農産物市場に取って代わって、生鮮農産物を販売する主なルートになると私は思っています。スーパーのほうがもっと力を入れて、安定した物流システムを作れば、野菜を含む農産物は生産地から直接スーパーに入ることができますね。そうすると、価格の安定も期待できますし、農家にもその苦労に相応しい利益を与えることが出来ると思いますね。
また、農産物の価格をもっと透明化する必要があるんではないでしょうか。例えば、栽培面積や生産高などの生産地の情報、それに、市場の情報など価格に関する変化を適宜知らせるようにすれば、消費者にも農家にも利益をもたらすと思います。中間の流通ルートを少なくして、それに関する費用を出来るだけ軽減すれば、生産者と消費者を直接結ぶこともできますね。(劉叡琳)
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