影絵芝居は、中国で広く伝わっている民間芸術です。音楽に合わせてロバや牛の皮で作った人形を操りながら、灯りで人形の影をスクリーンに映し出すというものです。遼寧省の蓋州市には、影絵職人張永夫さん・林敏さん夫婦がいます。二人は、20年間影絵芝居一筋、所有する影絵は5000点にも上ります。2人は、貴重な民間芸術を大切に守り続けているのです。
蓋州では、影絵芝居の歴史が長くて、300年以上前の文献にもその記述が残されています。張永夫さん・林敏さん夫婦の生活において、この影絵は、ずっと重要な地位を占めています。張永夫さんは、影絵の収集と研究に専念しており、所有する影絵作品は、5000点あり、よく展示会にも招待されています。また、遼寧大学の客員教授にも招聘され、日本やベルギー、アメリカなどの研究者と頻繁に学術交流を行っています。さらに、彼が手作りした作品も200点あり、「遼寧影絵集」として編集出版されました。奥さんの林敏さんは、「中国東北3省で『遼寧影絵集』が出版されました。採用された作品500点のうち、我が家の作品も200点掲載してもらいました。私たちの影絵は、遼寧省あるいは東北の代表と言っても過言ではありません。これらの作品は、清の時代から受け継いだものです。全部、古い物ですよ」と語っています。
張さん夫婦が主宰する蓋州市民間影絵芸術団は、一年中、農村を回って公演を行っています。彼らの作品は数々の受賞歴があるだけではなく、農村の人たちに民間芸術に触れる機会を提供しています。
これについて夫の張さんは、「公演は一年間に、少なくても60回、多いときは、90回くらいあります。蓋州市の農村は、全部回りました。94年と96年には、瀋陽市の縁日でも上演したことがあります。とても好評ですよ。あっ、そうそう、去年の10月にも公演を行いました」と語り、奥さんの林さんは、「あの時はずいぶん冷え込んでいましたが、100人以上が見に来てくれました。村の人たちは、綿入れの上着を着込んだり、布団をかけたり暖かくして、熱心に鑑賞してくれました」と話しました。
民間芸術の世界でも高齢化が進み、現在各地で、多くの民間芸術が後継者のないまま廃れ初めています。張さん夫妻も、生活的には苦しいですが、影絵への情熱は変わることはありません。遼寧省の各地で積極的に公演活動を続けると同時に、文化の継承についても取り組んでいます。奥さんの林さんは、「農村で公演を行うたびに、この文化を継承していくのを考えなければならないとつくづくと感じています。去年、大連で公演したしたは、現地で劇団を作りました」と述べました。
二人は、影絵芝居を深く愛し、そして全力で守っています。夫・張さんの話では、夢の中でも影絵芝居を上演していることがよくあるのだそうです。夢で張さんは、山を越え、光まばゆい街を通り、上演を待つ観客のもとに向かいます。一歩進むごとに、充実した気持ちが胸に沸いてくるという夢なのだそうです。(翻訳:李軼豪)
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