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中国医科大学の盛京付属病院。泌尿外科の呉斌主任の話しになると、医者も患者も、皆心から彼のことをほめます。患者にとっては、思いやりあふれるお医者さん。同僚にとっては、頼りになる中堅医師。医学界に身を投じて22年、彼は、医者にとって最高の賞、「中国医師賞」を初め、様々な栄誉を手にしています。
呉斌さんは、中国医科大学の出身で、3回にわたり日本で短期研修を受けています。日本でも、呉さんは、研究に一生懸命励んでいました。彼が書いた論文は、日本の泌尿外科学界の権威ある雑誌に掲載され、注目を集めました。彼の卓越した才能は日本でも認められ、京都府立医科大学が設立した賞、「立功賞」を授与されました。彼は、この賞を受賞した唯一の外国研修生です。
呉斌さんは、困難を恐れず、難病の克服に挑戦しつづけています。呉斌さんの同僚、宋永勝さんは、「うちの病院には、難病にかかった患者がよく来ています。治療のリスクは当然大きいです。しかし、呉さんは、そのリスクを恐れず、治療に全力を尽くします。優れた技術と豊富な経験から、難病治療の「専門家」として活躍していますよ」と語っています。
患者・トウ玉蘭さんは、尿毒症を患って、3年になります。ずっと透析治療を受けてましたが、去年7月、高い熱を出して、一ヶ月以上生死の境をさまよいました。手術を受けないと、生命の危険につながりかねません。呉さんは、相当難しい手術になると承知のうえで、決断しました。トウさんは、「当時、私は39度以上の高熱が続いており、その上、貧血も併発していました。状態は非常に不安定でした。にもかかわらず、先生は、手術を決断してくださいました。すごく感動しました。目を覚まして、最初に口に出した言葉は、『助けてくれて、ありがとう』でした」と、今も感謝の気持ちで胸いっぱいです。
長年の激務がたたって、呉さんは腰をひどく痛めています。いつも手を腰にあててつらそうですが、「ただの職業病だ」と笑いとあばす呉さん。しかし、彼の学生、詹運洪さんは、「先生の病気は、大変です。これは、過労からきた損傷です。腰を曲げたまま、何時間にもわたって手術をする仕事を、長年続けてきたことが原因です。最近では、手術のあいま、患者を運ぶストレッチャーに横になって、休んでいます。もう我慢できないような状態です」と、話しています。
呉さんは、どんな患者でも全力で治療にあたります。退院しても、彼に電話で相談してくる患者がたくさんいます。これは、彼のことを心から信用しているからです。この信用は、呉さんが患者に対して誠実に向き合っているからこそ生まれたものなのです。
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