
中国国家版権局は11月9日、『カラオケ経営業種版権使用費基準』を公表しました。それによると、「著作者及び映像権利者の合法的利益を守るため、カラオケ業者には、歌及びミュージックビデオの使用料を支払う義務があり、使用料はカラオケルームの数に基づいて計算され、1部屋につき1日あたり最高12元。先ずは北京、上海、広州の三都市で実験的に導入する」となっていますが、これに対して、広州や上海のカラオケ業者の業界団体が相次いで疑問の声を上げており、メディアを賑わせています。

広州文化娯楽業協会は21日、「当協会の会員は、国家版権局が公告したカラオケ使用料基準を受け入れず、中国音像協会に使用料は支払わない」とボイコット声明を出し、その理由として「使用料の導入そのものに反対するのではなく、あくまで、どのような手順と形式で徴収されるか、その合理性と合法性に疑問を感じている。徴収方法と基準の設定について、カラオケ業者に意見聴取もせず、一方的に決められたもので、強制的に実施されるなら、法的手段に訴える」と強硬な態度で臨んでいます。一方、上海の業者は「料金基準は一日あたり1元」と主張し、北京のカラオケ業者も基準設定の明確化を訴えています。
中国では、作詞家・作曲家たちの権利を守るため、1992年、中国音楽著作権協会が音楽著作権集団管理組織として設立されました。しかし、音楽作品のミュージック・ビデオ化に伴う権益を集団で管理する組織が長い間、設立されておらず、2005年12月にようやく、国家版権局の認可により、中国音像集団管理協会が発足しました。しかし、この協会は数多くの権利者から歓迎されたものの、組織の正式設立に必要な民政部での審査がまだ終えておらず、法律に基づいて集団管理できる権限が認可されていません。今回のカラオケ使用料の導入と料金設定は、中国音像集団管理協会の準備チームと中国音楽著作権協会の呼びかけにより行われた事も、反対をうける理由の一つになっています?

相次いだカラオケ業者の反発を受け、国家版権局版権司の王自強司長は、23日、「使用料基準案は、大多数の権利者から承諾を得た中国音像著作権集団管理協会準備チームと中国音楽著作権協会が幅広く調査、リサーチした上で作成したものだ。その基準案は『著作権集団管理条例』の規定に応じて、国家版権局に提出された後、国家版権局が8月20日から9月20日まで、一般から意見を求め、その後、著作権者、権利者組織、カラオケ経営者、関連協会の代表による座談会を開いた。さらに、寄せられた意見に基づいて、基準草案に対する修正が行われ、その後初めて一般公告しており、すべて法的手順を踏んでいる」と合法性を強調しました。
このカラオケ使用料の徴収に対し、政府関係者は「他人の財産を使ってビジネスをしているのだから、そこから得た利益の一部を当然支払ってもらう必要がある。香港や台湾の使用料に比べて、1/10の価格設定に過ぎず、中国の実情にかなった基準だと思う」と述べ、また一般市民は「著作権保護の気持ちは理解できるが、カラオケの利用料金は値上げしてほしくない」と話しています。一方、作詞家、作曲家たちは「カラオケが普及して20年になるが、ようやく費用徴収に乗り出した。画期的な進歩だ。中国では、作者の手元に入る利益が極端に少なく、今後の若手の健全な育成に向けて、しかるべき公正な待遇を受けたい」と評価するなど、異なる反応を見せています。(YAN)
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