中国東部地区の無錫市に住んでいる胡西風さんのガーデニングを訪ねてみましょう。
胡さんの家を訪ねた時、ちょうど庭には何人かが集まってお茶を飲みながら、おしゃべりをしているところです。
その中の一人、大学教師の賀さんは「これまで、仲間が集まる時、どこにしようかと迷うことがありました。カフェや喫茶店は、回りの人たちに迷惑をかけることから、声を出してしゃべることができません。よく公園で集まっていたんですが、昼間は別として、夜は行けません。いつも思う存分に楽しむことができませんでした。しかし、胡さんのこの庭ができてから、みんなここに集まって来て、何をしゃべっても、いつでもできますから、いいところですよ」と述べました。
胡さんは、中央美術学院を卒業して、彫刻をやっています。子供のころから絵を描くことが好きで、ガーデニングに対する興味は急に湧き出たものではなくて、前から自らのガーデンを持とうとしていました。
胡さんはガーデニングについて自らの考えを持っています。胡さんは「ガーデンはそれぞれの特色を持っていて、持ち主の好みやこだわりを表します。面積がそれほど広くなく、形などいろいろと制限の要素がありますが、うまく設計することで、小さい庭を通して、多くの文化と思想を表すことができます」と言いました。
半年余りかけて、胡さんのガーデンはだんだん出来上がりました。胡さんは、面積の小さいこのガーデンをスプーンのような広さだという意味がある、「一勺園」と名付けたのです。
面積が80平方メートルと、広くはありませんが、一本一本の草木は、手の込んだ設計にしたがって丁寧に植えたのですから、何もかも心楽しいです。
ガーデンに入りますと、まず右側に池があります。小さな魚が自由自在に泳いでいます。玄関のそばに置いた石の太鼓は、廃墟とされる古い建物の中から拾ってきたものです。
壁に沿って、竹などの草木が植えられていて、その傍らに大きな石の鉢の中に、蓮の花が咲いています。
また、長方形の鉢が目立ちました。長さ1メートルほどで、実は、これが豚のえさ箱だったそうです。
こうして、人々が捨てたものを、胡さんが拾ってきて、庭に置いたのです。
胡さんの友人、郭さんは「拾ってきたこうした古いものは、胡さんの庭に溶け込んでいて、新たな魅力を出していて、私は大好きです」と言います。
胡さんは自らのガーデンについて「この庭に植える植物はすべて自分が選んだものです。日照や、肥料、そして地勢の要素を考えて、好きなものを選びます。中国の古くからの文化の中で、草木は単なる植物だけではなくて、それぞれの象徴的な意味を持ちます。例えば、梅や蘭、竹、菊は古代から中国で好まれる植物で、謙虚で、勇気あり、厳しい環境に挫かない精神を表します」と述べました。
胡さんの庭には井戸があります。清い水の中に魚が泳いでいます。
胡さんの友人、陳さんはこの庭がとても気に入って、よく訪ねてきます。陳さんは「疲れる時にこの庭に来ますと、すぐリラックスできます。仕事に悩んだことなどがあれば、みんなでしゃべると、悩みも吹っ飛ばされます。胡さんが、琴の弾かれる女の子を知っています。ときどき、琴を持ってきて演奏します。庭の草木を眺めていて、琴を聴くことは最高です」と述べました。
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