中国領寧省遼河油田は全国第3位の油田です。しかし、ここの油田は50%の蝋を含むことや常温で固まることで、「流れない油田」と呼ばれており、世界で最も採掘の難しい油田とされています。「いかにして固まっている油田を溶かし、数キロメートルもの地下から石油を採掘できるか」、これは世界的レベルの技術的難題です。女性エンジニアである王暁華さんはこれを研究課題としてきました。その理由について、王さんは、「磁場で粘り具合を下げる技術は環境への汚染もなく、地層に負担もありません。それにこれまでの調査と研究そしてたくさんの基礎的資料を通して、この技術はかなり将来性があると信じています」と、語りました。
創業の苦労は他人に味わうことができないものでした。最初の研究段階で、彼女は科学研究費2万元(日本円にしておよそ30万円)で必要な設備と専門の本を買い、研究室にこもっていました。長い期間にわたって様々な磁場条件の中で各種の原油の生じた粘り具合を下げる効果を研究しました。その結果、それぞれ異なったデータの曲線から法則が見つかりました。遼河油田ボーリング技術研究院、計器研究所の趙業衛所長は、「磁気技術で粘り具合を下げることについては、世界ではまだ熟した理論がありません。従ってそれを応用する仕事は極めて難しいです。最初の段階で、プロジェクトチームのメンバーは20人ほどいましたが、設備などが整っていないうえ、たくさんの実験をしなければなりませんでしたので、多くの人は途中で諦めました。メンバーが一番少ないときは王さん1人しかいませんでした」と紹介しました。
1人だけでも遣り通す!と、頑張り屋の王さんは、この課題を選んだときから、ずっと休まずに研究し続けてました。祝日や休みの日に、王さんと会いたいなら研究室に行けばよかったのです。いつもそこにいるからです。10万あまりのデータを分析し失敗を重ねながら、彼女はやっと遼河油田の1回目の磁性の粘土を下げる機械を開発しました。この成果のおかげで、国内のこの技術の空白部分を埋めることができました。何年も生産が止まっていた油田から、原油が魔法のように湧き出た時、彼女と同僚が涙も流さんばかりに興奮していました。あれ以来、彼女のチームは800あまりの油田を蘇らせ、およそ20万トンの原油を増産し、累計2000万元(日本円にしておよそ3億円)の生産額を上げました。また、国際特許を取った磁気技術の製品は8種類も開発しました。
王さんにとって最も忘れられないことがあります。それは2000年の初め、遼河油田はインド石油会社と技術協力プロジェクトについて契約を結びました。それは磁気技術を応用して、インドのアッサム油田の高密度原油の粘り具合を下げる協力でした。中国の女性エンジニアの実力を試してみたいためか、インド側は一番蝋の固まった油田を依頼しました。インドの夏は毎日40度ぐらいの高温が続きます。王さんを含めた3人の女性エンジニアは高温と戦いながら、トイレに行く不便さにも耐えてきました。2001年6月22日、インドのアッサム油田から原油が沸きあがりました。インドの専門家は知恵と勇気に満ち溢れている中国の女性に大きな拍手を上げて「王専門家!」と叫んで心から敬意を表しました。このときの心境について、王さんは、「インド人からあれほど高い評価を得られるなんて、想像もできませんでした。しかもそれはいままで経験した中国人に対する最高の評価でもあります。中国人としてとても誇りに思えてなりません」。
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