5月末のある朝、遼寧省鉄嶺市昌図県の野菜農家李守忠さんは、早起きして玄関の前に座って王富さんの野菜買い付け用の車が来るのを待っていました。この販売ルートができてから、李守忠さんは、ビニールーハウスの野菜栽培だけで、毎年2万元あまり(日本円にしておよそ30万円)の収入が得られるようになりました。李守忠さんのように、毎朝多くの野菜農家が王富さんの車を待ちます。平均すると、鉄嶺市の農村からは毎日50数トンの野菜が、王富さんを通じて各地に売り出されます。
王富さんは、鉄嶺市昌図県の出身で、多くの人は彼のことを「野菜販売王」と呼びます。1992年、王富さんは、工面した800元(日本円にしておよそ1万円)の資本で会社を発足させ、野菜販売を始めました。最初は道端販売で、その後は屋台を借り、さらにトラックを使って配達するようになりました。そして、王さんはこれまでに長春市などで安定した野菜卸売りのチェーン店を作り上げました。彼の持つ総資産は、百万元近く(日本にして1500万円)に上っています。資産家になっても、王さんは、古里の人たちのことを忘れていません。「私はもともと農家の出身で、共産党員です。共産党員として、同郷の人が困っている時は手助けをすべきです。民衆の間で、党員として、彼らが豊かになるように努めて、党員と民衆の関係をより緊密にします」と、王さんは語っています。
より多くの農家が野菜の販売で豊かになるように、王さんは自分の持っている市場の情報を生かして、売れ筋の品種を推薦します。彼は、生産量の多い農家と買い付けの契約を結びました。また、王さんは、農業の専門家や技術者に出向いてもらい、農家に栽培技術を教えたり、栽培上の問題を解決したりしています。
資金難で困っている農家にも、王富さんはよく手助けをします。農民の張占軍さんは、その恩恵を受けた一人です。2004年冬、彼は、近くの農民たちが野菜販売で儲かったことを知り、自分もビニールハウスを購入して何かを栽培しようと計画しましたが、家には資金がありませんでした。王さんは、その事情を知って、すぐに彼にお金を貸すことを決めました。「あわせて2万元あまり(日本円にしておよそ30万円)貸してくれました。これには、何の条件もついていません。もう1年以上経ちましたが、まだ返していません。この金がなかったら、野菜栽培はやりたくても、できなかったです」と、張さんは感激で胸が一杯になりました。
王さんの援助と指導のもとで、現地の農民たちが野菜栽培を始め、多くの収入を得ました。2003年、昌図県八面村の農民劉兵さんは二つのビニールハウスを作りました。自分が育てる野菜が売れるかを心配して、種を撒くたびに、王さんに相談しています。ここ数年、劉さんの収入は倍になって、毎年1万元近く(日本円にしておよそ15万円)懐になります。王さんのことについて、彼は、「彼も農民の出身です。自分が資産家になっても、私たちのことを忘れないでくれます。周りの人たちが、彼から援助をもらいます。半分以上の人が、彼のおかげで新しい仕事を始められました」と、語りました。
王さんの考えでは、農民たちを率いて共同で豊かな生活を迎えるのは、新たな時代の農村のモデルです。現在、彼は、黒竜江の牡丹江、綏芬河などに経営の拠点を設置しています。これによって、遼寧省の野菜をロシア市場に売り込み、遼寧省の農民たちがもっと多くの利益を得られるようにと計画しています。
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