大連旭計器有限会社は大連市先導区に設置された日系企業です。管理職23人の中に、10人の農家出身の女性がいます。会社ではこの10人の女性を「10人姉妹」と呼んでいます。
10年前、この10人姉妹は17、8歳の若さで大連へ出稼ぎに来て、この日系業に入社しました。しかし、輸入された生産ラインを前に彼女たちは呆然としました。設備の取り扱い説明書、設備の流れ、生産要求を含めたすべての資料が英語か日本語で書かれていたので、ぜんぜん理解できなかったのです。外国人の管理職が話す専門用語を聞き取るどころの話ではありませんでした。
温延栄さんはこの「10人姉妹」の一人です。製品検査を担当し始めたとき、サンプルの説明書を読めなくて、不良品を直接お客さんに送ってしまい、会社に大きな損をきせてしまったのです。「その時は悔しくてたまりませんでした。毎日泣いていました。でも、泣いているだけでは説明書を読めるようにはなりません。勉強しないと、第一線の労働者にもなれないかもしれないと思いました」と、温さんは振り返りました。
ちょうどこのとき、大連市の労働組合が社員を対象にした養成活動を始めました。この地区の労働組合は実情に合わせて多くの技能養成クラスを立ち上げました。「10姉妹」全員がこのクラスに入り勉強しました。
「10人姉妹」のビン艶艶さんは、入社当初、溶接の仕事を担当していました。仕事のため、彼女は日本語を習得しようと心に決めました。この会社では日本での研修も行われました。その研修期間中も、仕事の合間を利用して、猛勉強しました。帰国してから、短期大学の日本語科に入り、仕事しながらの勉強を続けました。今は、ビンさんは会社の正規の通訳として活躍しています。「日本語を勉強し始めて3年経ちました。この間、すべて休みの時間を勉強に使いました。短期大学日本語科の13科目のうち12科目の単位を取りました。2005年に日本語能力試験2級をパスしました」と、ビンさんは述べました。
最初にご紹介した温延栄さんは開発に力を入れてきました。工芸や操作の流れなどを改良して、生産ラインのスピードを10秒縮めました。製品の不良品率も1%から0.3%まで減らしました。この技術が取り入れられて4ヶ月後、一人当たりの生産高は500元、日本円にして7500円増え、企業に10万元、日本円にして150万円以上の利益をもたらしました。
同じ農家出身の姜艶艶さんは、今は会社の管理職を務めています。人事部長に抜擢されると同時に、会社の労働組合委員、女性社員の委員なども兼務することになりました。このほか、姜さんは貴州省盤県に住んでいる一人の孤児を援助しています。
大連旭計器有限会社日本側の社長・三田敏幸さんは、「企業は好調です。それは、優れた社員が集まっているからです。10姉妹は会社の中堅になっています」と、話していました。
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