アジア開発銀行の年次総会に出席するため、インドのハイデラバードを訪れていた中国・日本・韓国の財務相は4日、6回目となる中日韓財務相会議を開きました。三カ国の財務相はこの地域での経済展望や、財政・金融協力などについて意見を交換したほか、アジア統一貨幣をめぐって討議を行いました。会議の後、三か国の財務相は声明を発表し、この中で「貨幣分野での協力を一段と強め、最終的にはアジアで統一貨幣の誕生を目指していく」という考えを示しました。
ヨーロッパの統一貨幣は「ユーロ」ですね。アジアの統一貨幣、中国語では「亜元(アジアの元)」と言いますが、日本語では「アキュ」というのでしたっけ?いいえ、違います。実はアキュはアジア通貨単位のことで、ASEAN10カ国+日本、中国、 韓国の貨幣を対象に加重平均値を示すものです。英語で「Asian Currency Unit」と書くことから、略してACU とも呼ばれています。アキュはアジア統一貨幣のことではないのですね。
1990年代の初め頃、アジア開発銀行はアジア地区での金融一体化を推し進めるため、アジア統一貨幣の構想を打ち出しました。しかし、アジア諸国の経済の実情や敏感な政治問題など、アジア統一貨幣の実施はそう簡単には行かないようです。1998年のアジア金融危機以降、アジア統一貨幣問題が再び取り上げられましたが、アジア開発銀行がいろいろ検討した結果、ではアジア統一貨幣を実現する前に、まず「アジア通貨単位」、ACUを導入しようということになったのです。
「アジア通貨単位」のACUは実際に取引を行うという訳ではなく、ただ通貨単位の指標としてアジアの通貨の監視や観測を行うというものです。しかしEUも今のユーロの前に「欧州通貨単位」のECUという前段階がありましたから、このアキュは、将来実現を目指す「アジア統一貨幣」の前段階と言えるでしょう。ユーロのようなアジアの真の統一貨幣の誕生には、まだまだ時間がかかりそうですね。(劉叡琳)
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