今度は昔の笑い話です。最初は「笑林広記」から「家兄」です。(家兄)
家の兄とかく「家兄」は辞典では、他人に対して自分の兄のことを指すとありますが、中国では、むかし、山西と河南の多くの地方では、金や銀などのことを「家兄」とも呼んでいたようです。
では最初は、「家兄」です。
周という地方の長官は、私腹を肥やすための罪がばれて、のちにあるところの県令に落とされた。
と、県令として職に着いたばかりの日に、ある下役人が、試にと、県令の屋敷をたずね、銀で作った小さな人形を県令が出てくる前に応接間に置き、奥にいる県令に大声で、「家兄がここにおりますので、よろしくお願いいたします」と言い残し、帰って行った。
これに県令はいい加減に答え、しばらくして応接間に出てみると、下役人はおらず、かの銀で作った人形だけが置いてあるのを見て、にやっと笑い、それをもって奥には入っていった。
のちに、この下役人はへまをやらかし、その上、庶民から甘い汁を絞り取っていたことがばれてしまい、なんと打ち首の罪にされてしまった。
そこで、処刑される日、やっと県令に一目会うことができたこの下役人は、必死でこういう。
「県令さま、かの私の家兄の面子を持って今度は命を助けてくださいませ」
これを聞いた県令、何のことかわからないような顔をしていたが、しばらくして思い出し、こう答えたそうな。
「なにをいう!お前の家兄もおろかじゃのう!わしが家兄を好んでいることを知っておきながら、あれっきり屋敷に姿をみせんんとはな!!」
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