「なんだ!!あ、そうか、あの大きな化け物みたいなのが神の鳥かも知れん」
と思い、同じように大きな鳥を見てきょとんとしている供を励まし、鳥の飛び立ったほうに向かい、やっとのことで周りを岩で囲んだ鳥の巣を見つけた。そこには大きなタマゴが三つ転がっていた。それは赤、緑と白のタマゴで、喜んだモゲンらはそのタマゴを大事に包み、疲れているにもかかわらず、帰途を急いだ。
こうしてふるさとに戻ったモゲンは、数羽の雌鳥を捕まえ、これらタマゴを孵そうとしたが、雌鳥はタマゴを見た途端逃げてしまう。そこでモゲンは供を連れてこの三つのタマゴを孵せる雌鳥探しに出かけた。が、みつからない。仕方なくとぼとぼと戻る途中、ある草原で黒い雌鳥を見つけたが、これが使い物になるかどうかわからない。しかし、雌鳥は捕まえなくてもモゲンたちにおとなしくついてくる。
「あれ?これは・・」とモゲンはその雌鳥を大事にカゴに入れて帰り、早速かの三つのタマゴの前で雌鳥を放した。すると雌鳥はコッコッコと鳴いてから、まずは赤いタマゴの上にちょこんと乗り、タマゴを孵すためか、お腹を落とした。そしてしばらくすると緑のタマゴに乗り移り、そのあとで白いタマゴにも乗り移って腹を落とし、かわるがわるタマゴを温めだした。
こうして一ヶ月以上たったある日、かの雌鳥は自分の仕事を終えたかのように、どこかへいってしまった。そしてその日の昼過ぎ、三つのタマゴから三人の男が出てきた。
これにみんなはびっくりしたが、モゲンから話を聞いているので、黙ってみていると、モゲンが三人に聞き始める。
「あんたたち、いったい何ができる?」
それに男が一人一人答える。
「私はみんなのことをまとめ、いいか悪いかを判断できる。私は頭だ」
「私は魔除け師。化け物や病を消す」
「私は大工だ。道具を作ったり家を建てたりする」
これをモゲンやみんなは受け入れ、そのときから頭、魔除け師と大工の三人は仕事を始めた。頭は毎日。是と非をはっきり分け、きちんと事を運ぶよう人々を諭したので、ケンカや殺し合いは少なくなった。魔除け師は、毎日、化け物退治に出かけ、また人々の病を治した。そして大工は、のこぎり、斧、刀道具などいろいろと作り、人々の家を建てたばかりか、畑仕事まで教えたのでみんなの暮らしはよくなった。こうしていやなことや災いも少なくなり、穏やかで豊かな日々がきた。
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