それから長い月日が過ぎた。もちろん、下界には災いがなくなり、豊かで平和だったので、かの頭、魔除け師と大工はかなり暇が日々を送っていた。そこで人々は彼らにはもう用はないと思い始め、なんと「余計なものは出て行け!」と三人を遠いところに追い出してしまったワイ。
こうなると、なんと昔のように人々は食い物やほかの事で言い争い、ケンカをまたはじめだし、殺し合いまでもしでかした。そのうちに今日はこちらの者たちがあちらの者たちを攻め、明日はあちらの者たちがこちらを攻めるという具合に、下界はまた乱れ、ひどい日が続いた。その上、殺されたものが変わった化け物もまた暴れだし、多くの人が食われ、病もはやり、たくさんの人が死んだ。おまけに多くの道具が壊され、町や村がめちゃくちゃになっても誰も直せない。このことから人々は、これはかの頭。魔除け師と大工がいないからだと悟り、さっそく新しい頭領が騒ぎを起こす連中をなんとか言い伏せ、自分が数人の供を連れて三人の男を捜しに出かけた。しかし、どこにいるのかわからないのでなかなか見つからない。こうしてみんなが困っていると一羽のツバメがどこからか飛んできて人間の言葉で頭領にどうしたのかと聞く。これに頭領は驚いたものの、ことがことなので、訳をツバメに話した。するとつツバメは、自分が探しにいくとどこかへ飛んでいった。しかし。ツバメはその日だけでなく、次の日もその次の日も帰ってこないので、頭領や人々は困り果て、仕方なく、ツバメを待つことにした。
それから一年がたったある日、かのツバメが戻ってきて頭領にいう。
「あの三人をみつけたよ」
「そうか。よかった、よかった。それで三人はどこにいるのかね?」
「それが遠いんだ。探すのが大変だった。実は三人はあのお日様が沈むところ近くに住んでいるんだよ」
「お日様は沈むところの近くに?」
「うん、ここから、そうだね。歩いて数ヶ月はかかるよ」
「へえ?まあいい、そこで三人はそこで何をしてるんだい?」
「三人はそこで楽しくのんびりと暮らしてるよ。家はあるし、田畑もあり、食うこと、着ることも困らないし、そこを離れたくないみたいだ。それにあんたたち三人を怒らしたみたいで、みんなのところには戻りたくないとさ」
「そ、そうか。あれはわしらが悪かったんだ。あの三人がいなくなったからというものこちらは大変だ。どうだいツバメ、わしらに代わってお詫びに行ってくれるかい?」
「それは無理だ、あの調子だとあんたたち自分で謝りに行ったほうがいい。これ以上、私は手伝えないよ」
「そうか。それもそうだな。自分たちでしておいて人に頼んで謝ってくれなんで調子がよすぎる」
「じゃあ、これで戻るからね」とツバメはどこかへ飛んでいった。
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