この鳥の会話をきいた孔一は、これは町の人たちに知らせなければだめだ。でないと,みんなにすまない。取り返しのつかないことになると考えた、疲れているにもかかわらず、上着をまとうと、屋敷を出て一軒一軒まわり、三日後から大雨が振り出すという鳥の会話を伝え、いち早く丘のほうへ逃げるようにいう。
これに町の人たちはびっくり。占いが当たる孔一のいうことだから、さあ大変。町はみんなの引越しでごった返した。が、これを耳にした県令は怒った。
「なんということじゃ!鳥のいうことなどを言いふらすとはけしからん。その孔一と申す医者は、きっと妖言をふりまき、人々を騙しておるに違いない。ものども、そやつを捕らえてまいれ!」
ということになり、孔一は役所に引き立てられていった。
「おまえか!孔一という妖言をばら撒くものは!」
もちろん、捕らえられるのを覚悟で鳥の言うことをみんなに知らせた孔一のこと、これに正直に答える。
「県令さま、申し上げます。実は・・」と孔一は、これまでのことを細かく話した。これをきいた県令、始めは馬鹿にしていたが、そのうちに鳥の言葉がわかる羽毛があると聞いて、興味を持ち出した。
「では、わしにその羽毛とやらをためさせてくれ」という。
そこで孔一は懐からかの羽毛を取り出し、県令と一緒に役所の裏庭に出たが、一羽の鳥もいない。仕方がないので県令は自分の飼っている鸚鵡を鳥かごごと持ってこさせ、羽毛を耳にかけて、がごに顔を寄せた。すると鸚鵡の話が聞こえた。
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