するとじいさんが近くにあった大きな石の上に座ったので、秀才は部屋に戻った。だが、さっきまで地べた一面に積もっていた銭がなくなっており、ただ三文だけが机の上においてあった。これに秀才は怒り、外に出てじいさんに、いったいどうしたことだときつい顔で聞く。これを見たじいさんは不機嫌にいう。
「わしはあんたとはこれらかも仲良くしようと思っていたが、あんたはやはり欲張りだったな。降ってきた金は人のものに決まっているよ。わしは泥棒にはなりたくないしね。ふん。お若いの、苦労もしないでいい暮らしを送るなんでとんでもない!自分で何とかして金を稼ぎな」
「何とかして金を稼げだと?」
「ああ、それにあんたとの付き合いもこれで終わりみたいだな」
「ええ?」
「じゃあ。これでな」とじいさんは言うと、ふと姿を消し、それからは秀才のところには来なくなったと。
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