「あんたはひどい主だね、こんな狭いところにおいらを閉じ込めたままでさ。いいから一度は外に出してくれよ」
これに県令はびっくり。さっそくがごを開けるとを、鸚鵡はありがとうろ言い残して飛び去っていってしまった。こうして孔一の話を信じた県令は、ただちに丘のほうに逃れるよう求めた御触れを町のところどころに張らせた。そこで多くの人は丘に引越したが、普段から孔一のことをよく思っていない連中がいて、御触れを見ても県令は騙されたといい、県令と下役人も丘に移ったというのに,知らん顔をしていた。
やがて、三日後に大雨が降り始め、それが続き、町は水に埋もれてしまった。もちろん、かの張り紙のことを馬鹿にしていた連中とその家族は溺れ死んでしまった。そして町の真ん中の地面がへこみ、ここら一帯は大きな池となったそうな。
その後、県令は、上に申し願ってお金や多くの物を出してもらったので、それを使い、みんなして危なくないところに新しい町を作ったという。
次の年のある日、孔一が自分の住まいでくつろいでいると、家の前にある木に一羽の雁が止まった。よく見ると、自分が翼を治してやった雁だったので、孔一はさっそく羽毛を耳にかけたが、どうしたことか、何も聞こえない。そこで不思議な顔をして羽毛を耳からはずすと、その雁は、枝の上で孔一にお辞儀をしたように見えた。そこで孔一が近寄ってみると、雁は飛び立ち、空を一回りしてから遠くへ飛んでいってしまったワイ。これを見て孔一は残念がったが、よく見るとその木の根元に袋が落ちていたので、拾ってあけてみると、中からお守り袋のようなものが出てきた。そこで孔一はそれを誰にも言わず大事にしまっておいた。その後、孔一は妻と共に長生きし、幸せに暮らしたという。
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