次は小話で「今すぐ食べに行く」です。(好吃者)
「今すぐ食べに行く」
昔、ある村に一人の食いしん坊がいた。ある日、一人の村人がその食いしん坊に「明日ご馳走するからうちに来なよ」と誘ったので食いしん坊は大喜び。「明日は美味いものを食べるのだから、今日から何も食べないで腹をすかしておこう。そうすれば明日は美味いものをたらふく食える」と食いしん坊はこの日は何も食わなかった。
ところが翌日、その村人は「今日は急用ができたので明日きてくれ」という。食いしん坊は仕方がないのでその日も何も食べないで待った。ところがその次の日、かの村人が「すまん。あしたにしてくれ」と言う。そこで、食いしん坊もまたその日も腹をすかした。
ところが、その翌日、かの村人はまたまた「すまんすまん!またまた急用だ。明日きっとご馳走するから」と言ってきた。これに食いしん坊は、腹がペコペコで我慢できなり、大急ぎで卵を二つ茹でて一気に飲み込んだ。ところがあんまり慌てていたので、卵が喉に詰まって食いしん坊は息を引き取った。
これに村人は大騒ぎ、すぐ葬式を出し、食いしん坊を棺おけに入れて蓋をして釘をトントンと打ち始めた。するとその拍子か、喉に詰まっていた卵が胃のほうに通りぬけ、なんと食いしん坊は息を吹き返した。そして、トントンいう音を聞いて答えたとさ。「そんなに門を叩かなくても今すぐ食べに行くよ」とね。
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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