「おじいさん、捕まえたよ。大きな金のうろこの鯉をさ!」
「よかったな!」
「でも、おいらはどうやって下界に戻るの。かあちゃんが待っているというのに」
「安心しろ!このわしが送ってやる。さ、舟に乗って目をつぶりなさい」
こういわれてウハサトは言われたとおりに目をつぶると、また大きな息をする音が聞こえ、強い風が吹き、舟は揺れ始め、やがてゴトンという音がして止まった。ウハサトが目を開けるとそこは家の近くだったので、早速魚を持ち帰り、寝込んでいる母親に「かあちゃん、ただいま!いま病を治せる魚を料理するから」と煮魚を作り始め、それを母親に食べさせた。すると母親の病が治り始めた。
しかし、どうしたことか、母親は一年後にまた病に倒れ、とうとう亡くなってしまった。悲しんだウハサトは数日泣き続け、仕方がないので母親を葬ったあと気が抜けたように日を送っていた。そのうちにまた天の川に行きたくなり、その考えは強くなる一方。そこである日、ウハサトはかの巫女を探し、もう一度天の川に行かせてくれと一生懸命頼んだ。これに巫女も折れ、とうとう、その次の日にこの前と同じ方法でウハサトを天の川に向かわせた。
こちら、あの白いひげのじいさん。ウハサトがまたきたので大喜び。
「ウハサトや!お前を待っておったのだぞ。わしはもう年じゃ。お前はここに残ってわしの変わりに天の川を守ってくれ」
じいさんは、こういうと、ウハサトがこれに答える前に、どこかへ行ってしまったとさ!
こうしてウハサトは天の川に残ったが、今の天の川で一番光る星が天の川の守り神ウハサトだという。
そろそろ時間のようです。では来週またお会いいたしましょう。
|