北京は、都市としては3000年以上、都としても800年以上の歴史があるだけに、文化財が数多くあります。故宮、万里の長城などの世界遺産はもちろん、宗教施設や一般市民の住まいも、由緒あるところが多いです。政府の統計では、こうした文化財は合わせて3500ヶ所に上るということです。
しかし、町の近代化が進むにつれ、高層ビルがどんどん建ち、古い建物の「居場所」が狭められてきました。とりわけ、北京の伝統的な住宅様式の「四合院」と「胡同」は、数えるほどしかなくなりました。
「このままでは、3000年以上の歴史を誇る北京の昔ながらの街並みが消えてしまうのでは」という懸念の声を受けて、政府はさまざまな取り組みを続けてきました。2000年からは、文化財の保護プロジェクトを実施し、百ヶ所あまりの遺跡などを改修しました。
北京市文物局の孔繁峙局長によりますと、このプロジェクトでは、主に、6つの世界遺産の保護と改修に力を入れてきました。まず、故宮の改修では、周辺の環境保護が重点です。また、天壇公園は、建物がよく保存されているため、改修作業はそれほど手間がかかりませんでした。しかし、その周辺の整備で、企業や住居の立ち退きが必要なことから、予算は多くかかりました。3つ目は、北京原人の頭蓋骨が発見された周口店。その環境を保護するため、周辺のセメント工場や、石材の加工工場を移転させました。そして頤和園では、昔ながらの様子を保つために整備を行いました。万里の長城と明の十三陵でも、大規模な改修を行ったということです。
孔局長によれば、このプロジェクトの実施期間は2008年、つまり今年までですが、これからも長期的な計画があるそうです。
「2008年以降の計画として、まず、歴史遺跡の保護と改修を続けると同時に、伝統的な住居の『四合院』と『胡同』の保護を始めます。そのためには、2015年までに毎年1億5000万元の資金を投入する予定です」(孔局長)
現代化を進めつつ、由緒ある建物も昔のままにしっかり保存していく…そんな北京であってほしいと思います。(鵬)
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