午前8時半。いつもの通り、リースー族の男の子、12歳のナンティイェ君が家から少し離れた怒江のほとりに来ています。通っている学校は、川のむこうにあります。
怒江は、東南アジアを流れるサルウィン河の上流のことです。ナンティイェさんが渡らなければならないところの川幅は、200メートル近くあります。でも、川の上には橋がありません。両岸を結ぶのは一本の鉄筋だけです。ナンティイェさんは、かばんから滑車を出して、その片方を鉄筋に、もう片方の鉤をしっかり身に巻きつけた縄に付け、自らを吊り上げます。向こうの鉄筋は、こちらより低いので、わずか7秒で、ナンティイェさんは対岸にたどり着きました。
ナンティイェさんに続いて、鉄筋で川を渡ろうとしているのは10歳の女の子、イェンティンファンさんです。長い黒髪が風に吹かれ、まるで鳥のように川の上を飛んでいきます。しかし、まもなく川岸にたどり着くというところで、イェンティンファンさんは、止まってしまいました。あと20メートル。体を動かしても滑車が動きません。仕方なく、両手を鉄筋に付け、這うようにして、向こう岸にたどり着きました。数分間、余計にかかってしまいました。
地元の人々にとって、こうやって怒江を渡ることは、生活の一部分です。このようにして、リースー族の子どもたちは、いわば「命をかけて」川の向こう側にある学校に通っているというわけです。
しかし、このほど民間の募金によって、この辺りに橋を作ることが決められました。子どもたちは、とても喜んでいます。
ちなみに、リースー族の人口はおよそ57万で、 主に雲南省怒江リースー族自治州に住んでいます。一部は付近の州・県と四川省塩源、塩辺、木里に居住しています。(文:藍暁芹)
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