ウイグル族といえば、主に中国北西部の新疆ウイグル自治区に住んでいる少数民族です。その自治区の中でも、カシュガルという都市が、とくにウイグル族の集まるところで、文化・歴史の面からも最も有名な町です。
カシュガルの中心地はエティガール広場です。ここは、市民の憩いの場所であり、またお祝いの時の集会の場所となります。漢民族の観光客がよく訪れるからか、広場では、少したどたどしい標準語で商売をしている人もいます。
広場の周りには、自由市場が何ヶ所かあります。そこで、ウイグル族独特の品が数多く販売されています。たとえば衣料品でいえば、手作りの刺繍の帽子や頭巾、ドレスなどです。
ウイグル族の帽子というと、ウイグル語では「ドッパ」といって、四角いまたは六角形をしていて、ツバがないのが特徴です。子供用・老人用・男性用・女性用と、大きさや色が様々です。とくに女性用のドッパは、「花の帽子」とも呼ばれ、花模様の刺繍が施してあったり、高級なものには宝石や金がちりばめられたりと、大変美しいです。また、ウイグルドレスは、長袖の上着とスカートが一緒になったワンピースで、こちらも独特のものです。
これらの服装のほかに、ウイグル族の女性は髪形にもこだわります。
「ウイグル族の女の子は普通、19本か21本のお下げ髪を編みます。もちろんもっと多く編んでも構いませんが、多くて41本と決められています。19、21、41が、イスラム教の聖典「コーラン」では縁起のいい数字とされていますから。でも、結婚している女性は、2本しか編むことができません」(アイシャさん)
女性は、お下げ髪に花の帽子、それにドレス。一方、ウイグル族の男性のシンボルといえば、ナイフでしょう。
カシュガルのイエンギサール県は、ナイフの名産地と言われています。イエンギサールのナイフは全て手作りで、ナイフの柄にはさまざまな金属製の飾りがついているので、本当にきらびやかです。
ヨーロッパでは、スイスのアーミーナイフが有名なのと同じく、新疆ウイグル族のナイフは、中国を代表するものです。カシュガルの住民・メハメットカンさんによりますと、ウイグル族の男性はみんな、常にナイフを携帯しています。肉を食べるときは、自分で切り取って食べるのです。それに羊を殺すときもナイフを使うということです。
さらに、ウイグル族の食事といえば、羊肉です。特に有名なのが、「羊肉串(羊の串焼き)」。羊肉を小さな塊に切って串に刺し、そして塩や唐辛子などで味付けして焼いたものです。
実は、ウイグル族の代表的な料理には、羊の串焼きのほかに「手抓飯」もあります。「手づかみご飯」という意味の料理ですが、箸など使わず、手でご飯をつかんで食べる料理です。ご飯の中に、人参・羊肉が入っていて、色や味がいいのはもちろん、栄養もたっぷりです。
また、ウイグル族の音楽も独特です。カシュガルでは、新疆の民族楽器・ネワプの曲がよく聞こえてきます。ネワプは、日本の三味線のような弦楽器です。ウイグル族は、このネワプ、それに打楽器の手鼓の伴奏に合わせて歌ったり踊ったりするのです。(鵬)
|