来日して20年ですから、私もすっかり日本の習慣になれましたが、当初はびっくりしたり、戸惑ったりしたこともありました。今、日本に居る中国人達もまだ同じ感覚でいるひとが大勢います。同じ漢字を使うよく似た文化の国だと思っていましたが、かなり違っているところもあるようです。これからは日中の民間交流も増え、中国の地でお祝いすることもあるだろうと思います。日本の皆さんは「あれっ」と首をかしげるかもしれないそんな習慣の違いを2、3拾って見ました。
○祝儀袋の色について
日本では祝儀、不祝儀は白い袋で水引きによって区別されますが、中国では祝儀は赤に決まっています。誕生日やお年玉も赤です。もちろん結婚式はすべて赤の祝儀袋になりますが、ひとり白い「のし袋」を持って行くと非常に不吉なものになってしまいます。逆に葬儀のお供えは白い袋でこれに赤を使ってしまうとたいへんなことになります。
○礼服について
日本の婚礼は黒に白いタイ、葬儀は黒に黒いタイと男性も女性もほとんどそう決まっています。中国では黒一色というような習慣はありません。私の子供時代は葬儀の時に遺族はまだ白い布を頭に巻いて端を背中に長く垂らしていました。子供の代は白で、孫の代は黄色いひもを頭につけます。みんな黒一色でなければならないということはありません。地味であれば良いのです。婚礼の場合も男女共黒ではなく正装であれば色は何色(白を除いて)でもよいのです。女性の場合は少々派手な色でもかまいません。これから中国にいる友人の結婚式に招かれる機会も増えてくると思いますが、日本のように黒の礼服に白いタイでは忌み嫌われますので注意が必要です。
○お祝いに贈ってはいけない時計と傘。
どちらも日本では喜ばれたり、少々粋なものと見られますが、中国では逆です。時計は中国語では「鐘」と発音しますが、「鐘」(しゅう)と「終」は同じ発音です。「終」を送ると言う意味で、字面から見て、日本人もお分かりになるでしょう。「これで最後よ」という意味です。
傘は末広がりとか相合傘などと日本では言われますが、「傘」の中国語の発音は(さん)で「散」と「惨」同じ発音です。「散」は別れや離散する意味合いがあり、「惨」は惨めな意味や悲惨な意味合いがあるので、結婚のお祝いや餞別等の時に時計と傘をプレゼントするのは禁物です。
○中国人へのお土産
知っておかれると損をしなくてすみます。
私が知っている限り中国人は「おせんべい」を食べる習慣はありません。特に醤油味とか塩味とか味噌味など、どんな味でもおせんべいは好まれません。むしろクッキーの方が中国のお菓子や月餅に似ているので喜ばれます。
よく中国はお茶の国といわれていますが、中国人にお茶をプレゼント
すると、笑われてしまうかなーと思いがちですが、むしろ日本のお茶ってどんな味だろうとか、どのような飲み方をするのだろうかなどと興味をもって喜ばれるようです。
○「ふくろう」や「蛙」
日本では「ふくろう」や「蛙」はとても縁起のいいものと言われているようです。キャラクターグッズやマスコット人形やコースターの模様として使われていますが、中国では「ふくろう」は福を呼びませんし、可愛いくもありません。中国では「猫頭鷹」と書き、夜行性ですから、どちらかというと狡猾、陰気というよくないイメージの方が強いのです。
「かえる」は日本では「返る」の意味がありますが、中国ではそんな意味はありません。小さくて可愛い青蛙はあまり嫌われないとしても、特に「蝦蟇蛙」とか「ひき蛙」などのぶつぶつした肌は醜く、汚いものとして嫌われています。「?蛤蟆想吃天?肉」という中国のことわざがありますが、「蝦蟇蛙は白鳥の肉を欲しがる」という意味で、よく醜男は美女を求めるという例えがあります。イメージは日本ほどよくありません。
国によって讃えられるものと嫌われるものが随分違いますのでこれも要注意です。
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