今年は、中国と日本の国交正常化35周年、また両国の文化スポーツ交流年です。これを記念するイベントの一つとして15日、北京市中心部の繁華街・王府井で「日中のお祭りin北京」が開かれました。
これは、4月に行われた両国の首脳会談で決まったもので、中国日本友好協会や北京市人民対外友好協会、「日中文化スポーツ交流年」実行委員会が共同で開催したものです。
イベントは4時間にわたって、舞台とパレードの2部に分かれて行われました。中国からは太鼓や獅子舞、カンフーなど、日本からは徳島県の阿波踊り、岩手県の鹿(しし)踊り、沖縄県のエイサー、秋田県の竿灯まつりなどが披露されました。合わせて780人以上が参加したということです。
午後3時から、王府井のメインデパートの一つである北京市百貨大楼の前で、まずはステージ・パフォーマンスが行われました。秩父屋台囃子(埼玉)、太平鼓(北京)、石見神楽(島根)、中国カンフーなどが次々に上演されます。その中で、岩手県の鹿踊りがとくに注目を集めたようです。
踊り手は腰の前に太鼓を、背中には2本の竹ざおのようなものを立てて、また頭には2本の鹿の角をつけます。体のほとんどは飾りや服装に厚く包まれ、顔だけが見られる格好でした。そして踊るときは、太鼓を鳴らしたり、頭を振りながら跳ねたり、ときどき念仏のような唄を歌います。中国の観客にとって、この踊りを見るのはもちろん初めて。踊りが終わると、大きな拍手で会場が包まれました。
舞台でのパフォーマンスが大体2時間続き、夕方にはパレードが始まりました。阿波踊り、長崎くんち、竿灯まつり…各地方のお祭り団体が道の中央を闊歩し、両側は大勢の観客で埋まりました。ライトアップされた王府井大通りで、太鼓の音、美しい伝統衣装、それに掛け声が合わさって、祭りは最高潮の盛り上がりを見せました。
中日両国の人々に話を伺いました。
「ここで披露された芸能などは見た目が違うけれど、お互いに気持ち、あるいは思いは一緒なんだということをみんな確認できる楽しい場だった。」(大野さん 鹿踊りを披露した岩手県立花巻農業高等学校教諭)
「日本の方々が見せてくれたお祭りや踊りは、全て初めて見たものだ。正直、感動したし、心を打たれた。私は、前から日本に行ってみたいという夢があるんだけど、このイベントで、この思いは強くなった。『いつか』ではなく、『できるだけ早く』日本に行きたいと思っている」(王さん 北京の大学生)
このイベントによって、両国のお祭り団体の交流だけではなく、国民同士の交流、それに伝統と文化の交流ができたといえるでしょう。みんなそれぞれ感じたことや得たものを大切にし、それをより深い交流につなげていければと思います。(文:鵬 撮影:春生、鵬)
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