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雲南にある回族の集落・納家営
   2007-08-23 11:31:23    cri

    

 中国の雲南省には、納家営という回族の村があります。この村からは、歴史上名が残る有名なアホン(イスラム教の聖職者)を400人あまり輩出しています。また、中国では有名なアラブ歴史学者で、ユネスコの「アラブ文化シャルジャ賞」を受賞した北京外国語大学の納忠教授、著名な翻訳家・納訓氏など、いずれも、この納家営で生まれた人です。ここは、イスラム教の特色が昔のまま保たれています。

 納家営には、700世帯が住んでいます。みんな、この村に生まれ育ったことを誇りに思っているそうです。

 納家営の住民・納家瑞さんの話によれば、元の時代、納数魯という人が中央政府から派遣されて、このあたりに役人としてやってきました。納数魯さんはその後、家族も連れてきて、一緒に暮らしました。そして、だんだん他の地方からも人が集まってきて、村ができました。納数魯さんの名前から、納家の営(「営」は、部隊の兵営という意味)、納家営という名前がつけられたということです。

 実は、この納数魯さんという人は、イスラム教の開祖である預言者・ムハンマドの子孫だといわれています。そのため、人々は、この村がムハンマドの子孫によって作られたとして、誇りに思っているのです。

 納家営に住むムスリムたちは、昔からの習俗をそのまま保ち続けています。衣食住から冠婚葬祭、独特の習慣を持っているのです。たとえば、食事について、納家営のイスラム経学院の馬健康院長は、次のように語ります。

 「私たちは、客をもてなすとき、贅沢な食事はしません。どんなに地位のあるお客さんが来ても、おかずはせいぜい8種類です。結婚式のようなお祝いのときもそうなのです」

 お客さんを招待するとき、中国のほかの地域なら、料理が多ければ多いほどいいということになっていますが、ここでは料理の種類は、8種類が限界というわけです。

 ちなみに納家営の結婚式は、伝統的な習俗に従って行われ、なかなか興味深いです。まず、納家営の若者は、誰かと恋愛関係になる前に、かならず婚約をしなければなりません。そうしなければ、周りの人の批判を浴びるそうです。婚約を交わしてこそ、2人は交際していると認められるのです。そして、納家営の人は、婚約を結んでから結婚するまで、かなりの時間をかけます。短くて二、三年、長いカップルは八年かかるそうです。

 また、結婚式のとき、新郎新婦の家族や友達たちは、新郎新婦の体に、カボチャ、タマゴ、豆腐などを投げつけるという慣習があります。これによって、この新しく作られた家庭が、今後豊かな生活を送れるように祈るというわけです。

 これ以外にも、新郎新婦が結婚式のときに着る服装も、納家営では特別な習慣があります。結婚式では、新婦は、おしゃれな、あるいは派手なウェディングドレスを着てはだめです。服装は、気軽なものでなくてはなりません。その上で、新婦は、頭にベールをかぶります。そうでないとモスクのアホンは結婚式を始めてくれないのだそうです。

 納家営の新婦は、おしゃれな、あるいは派手なウェディングドレスはだめですが、それは、結婚式の衣装の種類が少ないというわけではありません。

 納家営には、結婚式の衣装を売る店が何ヶ所かあり、そこでは、さまざまなタイプのものが売られています。中国製はもちろん、マレーシア、シンガポール、さらにはサウジアラビアから輸入した服装もあるそうです。

 ところで、納家営の住民は、昔からの住民とその子孫が多いですが、実は、ここ数年、他の地方からムスリムがやって来ています。中国北西部の新疆ウイグル族自治区の馬雲繍さんは、その一人です。

    

 「ここに回族の村があるというのは、ずいぶん前から知っていました。私自身も回族ですので、ウイグル族が多い新疆より、ここが気に入っています。だから、家を離れて一人で来ました。いま、女性用のモスクで、アラビア語と宗教の知識を教える教師をしています」

 こんな回族の村・納家営。中国には、55の少数民族があり、各地にさまざまな少数民族の集落があって、納家営は、そのなかの小さな1つに過ぎません。しかし、この村は、他にはない独特の風格を保ち続けています。納家営は、少数民族独特の歴史や文化を次世代に伝える、中国が誇る大切な財産なのです。(鵬)

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