8月の末、雲南省紅河州元陽県の逢春嶺や大坪、小新街の辺りにあるハニ族の村には、都会へ出稼ぎに出た若者たちが続々と帰ってきました。村は久しぶりににぎやかさを取り戻し、豚や羊などを用意して、まもなく始まる3日間の「新米祭」に備えます。
新米祭の数日前、村人は、古くから伝わってきた習わしに従って、縁起のよい日に、自らの水田から、根付きの稲、一束を抜き取ります。そして両手を使って、これを擦り合わせて、取れた米粒を太陽に晒します。
「新米祭り」の日がくると、取れた新米で炊いたご飯と肉、酒を、天の神や地の神、山の神、穀物の神、それに先祖たちにお供えし、来年の豊作を祈ります。
「新米祭り」は、団欒の祭りです。親戚や友人が一堂に会して、美味しい料理を食べたり、お酒を飲んだり、世間話をしたりしてゆったりと3日間過ごします。お客さんが多いほど、来年の幸せも大きくなると言われているので、今年はこの家で、来年はその家で…と、集まる人数も多くなり、にぎやかさも倍増していきます。
家族の集まりのほか、村の集団活動もあります。歌や踊りは欠かせないもので、スポーツをすることもあります。村の若い男女たちは、自らの気持ちを相手に伝えることができる楽器「口弦」を手にして、外に出ます。意中の人がいれば、言葉ではなく、まずこの口にくわえて演奏するハーモニカのような小さな楽器で思いを表します。「新米祭り」で恋人同士になり、一生の誓いを交わした若者も少なくありません。
楽しい「新米祭」の3日間は、あっという間に過ぎてしまいます。それから、忙しい秋の収穫期に入ります。(担当:藍)
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