「こうして料理を作るときに鍋に水を入れ、どじょうを入れます。もちろん生きたままでね」
「うん、うん」
「そして水が熱く始めたら冷たい豆腐を入れるのです。どじょうは冷えることには耐えられますが、熱さには耐えられません」
「ということは」
「そう、熱いところに冷たい豆腐が入ってきたので、熱さから逃れようと必死に冷たい豆腐の中へもぐりこむのですよ」
「ああ、そうじゃな」
「もちろん、豆腐はとても柔らかいのでどじょうは中へ入り込めるのです。そのときに強火にして、豆腐を壊れないように煮ます。しこうしてどじょうは豆腐の中で徐々に煮上がっていくのですよ。こうしてからいろいろと味付けをしてとろ火に変えて煮るのです。こうして出来上がり、生姜や葱、それに煮込んだきくらげや唐辛子などを添えて出すのでございます」
「そうだったのか」
「この料理は火加減が大事です。さもないと豆腐が壊れてしまいますからね。お客人、おわかりになりましたか?」
「わかった、わかった。いや、かたじけない」と正徳帝は、供に船賃を大目に払わせ、自分の泊まっている宿に戻ったという。
うまそうな豆腐料理、食べたいわい!!
で、これは後の話だが、正徳帝は、この料理の味が忘れられず、宮殿に帰ってから厨房にこの料理を何度も作らせた。が、あの料理屋が作ったものには及ばなかったという。宮殿ではどじょうなどは食べないから、厨房人には作れないと人は言ったそうな。うん!
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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