次の日、古里はちょっと出かけると朝早くからどこかへ行ったしまった。
と、その日の午後、立派な服をまとった古里が、胸を張って王宮を訪ね、国王の召使いに会いたいという。これを見て番兵は古里の身振りなどに気おされてしまい、中に入って老いた召使いを呼んできた。
「なんですかな?私に何か用かな?」
「これは、これは。実は私は古里ともうしましてな。近く、兄が金蔵を始末したいと申し、大きな金塊や銀塊などは自分が残すが、細かいのは貧しい人々にくれてやろうというので、今日、このように私が王宮に篩(ふるい)を借り来ました」
これに召使いは驚いたが、こんな金持ちをほったらかしておくのはもったいないと、「そうでござったか。篩は喜んでお貸しいたしますぞ」と答えた。
こうして半月がたったある日、古里はこの前より立派な服をまとい王宮に篩を返しに来た。
こちら召使い、戻ってきた篩にまだ細かい金と銀の小粒が多くついているのを見て、「ああ、古里どの。篩にはまだ小粒がたくさんついておりますぞ」
「ああ。そんなものは一つ一つ片付けるのが大変でなので、いりませんよ。よかったら、あなたの下のものにやってください」
これを聞いて召使いはいくらか舌を巻き、この金持ちと知り合いなろうと考え「どうですかな?古里どの。お閑であれば、中でお茶でも」と勧める。これに古里は、「そうですな、では」と王宮に入り、お茶をご馳走になった・
「古里どの。あなたの兄とはどなたですかな?」
「兄ですか?兄は、兄は石笠と申し、ざくろ(石榴)王とも呼ばれ、もう三十近くになりますが、どうも大金持ちの娘でないと嫁に出来んと、いまでも一人でしてな」
「ほう、大金持ちの娘ねえ」とうなずいていた召使い、「しめた!これで姫さまの夫が見つかるかもしれん」と思ったのだ。
実は、国王にはこの年二十七になる姫がいたが、この姫は王族の息子や金持ちのどら息子は、だらしがないとじぇんじぇん興味がなく、これまで姫を嫁にくれという相手はかなりあったが、すべてうまく行かず、それが長引き、国王も悩んでいたのだ。
|