七月の北京は蒸し暑い天気が続いています。こんな暑い日はクーラー効いた部屋で暑い夏が早く終わることを望むだけですが、私の子ども時代にはクーラーはありませんでした。でも、セミの声を聞きながら、扇子を片手にスイカを食べるのがとても楽しかった思い出があります。特に、セミの鳴き声は夏の風物詩だったのですが、今、都市部に居住する私達にとって、北京ではセミの声を聞くことも難しくなりました。
では、まず最初にお送りしますのは「蝉之歌(セミの歌)」です。この曲は、世界でも名高いピアニストのリチャード・クレイダーマンが中国西南部の少数民族トン族の大歌を元に作曲したものです。この曲の元となったトン族の歌は、彼らがお祭りなどで歌うアカペラの合唱です。
1986年10月にトン族の9人の少女からなる合唱隊がフランスのパリで行われた芸術祭に参加しました。この時彼女たちの美しい歌声はパリの音楽界を魅了し、「泉のように輝く音楽」と称えられています。この時の歌声に魅了されたリチャード・クレイダーマンは、2000年の夏に本場のトン族の音楽を収集するため、中国西南部の貴州省トン族地区を訪れ、地元の民間音楽を元にこの「セミの歌」を作曲したのです。この曲は地元の市場の売り子の声とトン族少女の素朴なアカペラをピアノ、琵琶、二胡の音と巧く融合し、トン族の独特で芸術的な魅力ある音楽を表現しました。
「蝉之歌(セミの歌)」
今、お聞きいただいている曲は、フランスの有名なピアニスト・リチャード・クレイダーマンが中国西南部に住むトン族の民謡から作曲した「蝉之歌(セミの歌)」です。この曲はリチャード・クレイダーマンのフランスらしいロマンチックな情熱で、その心中の中国民族音楽を現しています。
それでは、続いてお送りしますのは、トン族の子どもたちの歌「小山羊(こひつじ)」です。トン族の子供は5,6歳の時から村の合唱隊の活動に参加し、様々なトン族の童謡を習います。子ども達はこれらの童謡を通じて農業と日常生活の知識を学ぶのです。彼らにとって童謡は生活における最もよいテキストだと言えます。
「小山羊(子ひつじ)」
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