今日のこの時間は、昔の酒仙ー曹参を簡単にご紹介しましょう。曹参は前漢時代の政治家で、劉邦について戦場を駆け回り、多くの手柄を立て、漢王朝ができると、平陽候という領主になり、その後、かの蕭何が死ぬと、宰相となって国政に参与しました。ま、ここでは彼が酒仙だということを説明するので、他の曹参に関わる事績などはやめときましょう。
この曹参はすごい酒好きで、どうにもならないといいます。彼は昼間は酒を飲み、夜も飲み、常に泥酔状態にあったらしいですな。ですから、彼は宰相となったあとも、この悪い癖を直さなかったので、これをみた文武諸官らは、苦い顔をし、政(まつりごと)はどうするんだと心配していました。そして、これら文武諸官が、酒をほどほどにして政に精を出すように説き勧めに屋敷に来ると、彼は決まって宴を設けて酌み交わし始め、関係ないことばかりいって相手の話をそらし、自分が酔っ払うまで飲んでしまうので、当時は宰相であり自分達よりも位が高かったので、文武諸官たちはどうにもなりません。
またこんなこともあったそうです。
曹参の屋敷の裏には、役人たちの官舎がありました。
そこでは、役人たちが朝から晩まで酒を飲み大声で歌い騒いでいたので、非常にやかましく、隣の曹参の屋敷にまでこれが聞こえ、屋敷の者はこれを嫌い、我慢できなくなって主の曹参に、このことを告げ、役人たちをおとなしくさせようとしたのです。
そして、翌日に屋敷のものが主の曹参に、屋敷の裏庭では花がきれいに咲いているから、是非ご覧になられませと勧めるので、曹参も、花見して酒飲むのも悪くはないと思い、その日の午後に屋敷のものの案内で花が咲き乱れているという裏庭に来ると、近くでわいわいがやがや騒ぐ声がしました。
「何じゃ?あれは、多くのものがさわいでいるのう」
「はい!実はこの裏庭の後ろには,塀を隔てて役人どもの官舎がございます。実は、毎日朝から晩までああして騒いでおり、夜もやかましく、たまりません。旦那さま、どうなさいます?」
こちら曹参は「なに?そんなことがあるのか?わしの部屋まで聞こえんから;知らなかったワイ。よし、わかった」といい、そのあとは黙っています。
「旦那さまに、あのことを告げてよかったわい。これであの役人どもも、おとなしくなるだろう。これで私どもも、夜は静かに眠れるというもの」とこのことを告げた屋敷のものは安心しました。
ところが、その日の夜、屋敷では主がいないと大騒ぎ。いくら探してもいないので、もしかしたらと隣の役人の官舎に探しにいくと、なんと曹参が役人たちと一緒に飲んだ意騒いだりしていたのです。やれやれ。
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