先週は、中国の酒の習慣についてお話しましたが、実はまだまだあるんです。でも、酒の習慣の紹介は、今日は一休みにしましょうね。私も少し話題を変えたくなってきましたからね。そこで、今日は。中国で昔、酒仙といわれていた石延年を簡単にご紹介しましょう。
石延年は宋の時代の人で、この人は文学者であり詩人でもあり、字を曼卿といい今の河南省に生まれ、当時の王朝では太子中允という位まで出世したとあります。彼は豪放な上に、酒豪なのです、言い伝えられるところによりますと、宋の仁宗帝が、この石延年の才能を高く買っていましたが、彼がいつもかなりの酒を飲むと聞いて心配し、酒をやめるよう勧めたのですが、やはり止められず、それが祟ってか、やがては体を悪くし、中年でこの世を去ってしまったのです。惜しいですね。
ところで、劉潜というかなり酒好きがいて、ある日、石延年と呑み比べしようということになりました。そこで二人は京師河の畔に新たな酒屋ができたと聞き、そこへ行って飲み比べをはじめたんです。そして朝から飲み始め、二人はずっと黙ったまま。これを見た酒屋の主はかなり驚き、飲み比べしている二人に感心して、「この二人の客はこれまでわしがみた酒飲みとは違うぞ。きっと奇人か、豪傑にちがいない」と思っていい酒を出し、美味しいつまみを作って卓上に並べ、二人に付き添うかのように近くに座っていましたが、二人はそんなことにはかまわず、飲み続けました。そして日が暮れ始めたのに二人はまだ杯を置こうとせず、、夜に入っても飲みましたが、いずれも顔色は変わらなかったといいます。すごい!そして翌日、都ではこれが話題となり、この酒屋もこのために繁盛し始めたのですが、この二人の飲み比べを、酒の上でのライバルという意味でしょうか、「酒敵の対飲」という美談となってのちに伝わり始めたといいます。
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