今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
この時間は、まず昔の本「聊斎志異」から「不思議な若者」というお話をご紹介しましょう。
「不思議な若者」
いつのことかわからん。趙公が地方の役人をしてときのある日、一人の男が趙公の書き物などの手伝いをしたいと訪ねてきた。そこで趙公は下のものにどんな人物かと聞くと若者だという。
「ふーん。若者がわしの手伝いをしたいとな。ま、一応通せ!」
こうして趙公が応接間で待っていると、顔かたちがよく賢そうな若者を下のものが連れてきた。そこで趙公は若者をにきく。
「わしの手伝いをしたいというが、何が出来るかな?」
これに若者が答える。
「はい。わたしはこれまで学問に励み、諸事の記録や上奏文を書けます」
「ほほう?己を薦めるのじゃから、かなり自信がありそうじゃな。では、何か書いてみよ」
そこで若者は墨と筆を用意してもらい、すらすらと何かを書いて趙公に見せた。
これを見た趙公は「ふんふん。書の方はかなりのものじゃ」とこの落ち着き払った若者が気に入り、ではわしの手伝いをしてくれと翌日から来てもらうことにした。
こうして若者は趙公の側近となったのだが、かなり頭がよく、趙公の気が付かないことまで考えていて趙公は大いに助かった。また、趙公が友人と碁を打つとき、若者は側で黙った見ていたが、負けそうになると助けの手を教えてくれたので、必ず勝った。こうして趙公はこの若者を益々気に入るようになった。
このような若者を同僚たちが黙って見ているはずがない。つまり、意地悪して困らせようと思い、「あんたは新米だから、行儀としてわしらに奢るべきだ」と若者にという。
「いいですよ。先輩たちを奢りましょう」ということになり、意地の悪い同僚たちは、新米の若者がみんなにご馳走すると言い回ったので、翌日の夜、すべて同僚約三十人が、ある料亭に集まった。ところが、意地悪な同僚の一人が若者にはこんなに沢山の同僚を奢る金があるはずがないと疑い、料理が運ばれてくる前にいう。
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