今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
もうすぐ2月、新しい年も一ヶ月過ぎいてしまいましたね。実は2月の18日は旧暦のお正月で、この旧暦のお正月を「春節」とよんで一年で一番の祝日としています。いまは少し早いようですが、北京ではお正月の準備がはじまり、その雰囲気がいまから濃くなっていくのです。
ところで、今日のこの時間は、清の時代の「聊斎志異」という本から「巫女のうらない」というお話をご紹介しましょう。
(一)「巫女のうらない」ー1
「巫女のうらない」
夏さんの父親は若いときからどら息子で、父がかなりの富を築き上げたのをいいことに、物を無駄にし、食事のときも肉まんだったら皮を捨てて中の具だけを食べるという有り様。また、金があるからと必要ないのに高い物まで買い込み、買ったあとはそのままにしておくということが多く、何から何まで贅沢を好んだので、のちに家計は徐々に苦しくなってきた。そしてついに一日三食も危ういというまでになり、そのうちにこれまでの馬鹿な行いが祟ったのか、重い病にかかってしまった。そして死に際に息子の夏さんに言い残した。
「息子や。わしは物を無駄にし、神さまを怒らしてしまい、とうとういまのように家を貧しくしてしまったワイ。お前はわしに学ばず、物を大切にし、この父の罪滅ぼしとしてよいことをしてくれ」
こういって父親は息を引き取った。その後、夏さんは父のいったことを守り、家計が苦しいので田畑を耕して暮らした。夏さんは正直者で、よく働き、人の手伝いもするので隣近所から好かれ、誰もが夏さんに声をかける。当時、近くに金持ちがいて、夏さんの父のことを知っていたので、夏さんことを気の毒がり、商い始めろと金を貸したが、夏さん、商いはうまくいかず借りた金も返せなくなってしまった。そこで夏さんは自分が金持ちの家の作男になってただで働くと言い出した。ところがこの金持ちはそんなことは出来ないという。これを聞いた夏さんは田畑と家の金目のものをすべて売ってしまい、それで借金を返そうとした。これを知ったこの金持ち、夏さんの人柄を見て、その金を受け取ろうとはぜず、より多くの金を貸すから店でも開いて商いをするよう言った。しかし夏さんはこたえる。
「いや、わたしはこれまで借りた銀十数両も返せなかったのに、そんな多くの金を借りるわけには行きません」
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