剣南春は西南部四川省にある綿竹県で造られる伝統的な銘酒で、コーリャン、もち米、トーモロコシと小麦を原料としたもので、透明でいくらか甘い香りと味を持ち、アルコール度は60%、52%と38%の三種が売られ、今では全国的に名を馳せています。
綿竹には悠久な酒造りの歴史があり、早くも唐の時代にここでうまれた"剣南焼春"と呼ばれるお酒は、当時の皇族への献上品にされていたということです。この剣南春というお酒の前身は綿竹大麹酒で、この酒は1662年の清の康煕初年に陝西の三原県に生まれた朱助怐iイク)という人が、綿竹の水がよいというので、ここに移り住み、最初の造酒工房である「朱天益酢坊」を作りました。で、ここでは酒ではなく日本の「酢」という字になっていますが、中国では「酢」とは杯のやり取りという意味があるそうです。ねえ、お酢を紹介するんじゃありませんよね。そして四川の剣の山と書く剣山の南に綿竹があり、昔は酒のことを「春」とも呼んだので「剣南春」と名づけられたそうです。後の「綿竹県誌」という本には、この酒はとてもおいしく、四川、上海や南京などでも好評を博したとあります。もちろん新中国成立後は多くの賞を獲得し、その後中国の銘酒の一つにランクされています。
さて、これはホントどうか知りませんが、その昔、かの大詩人である李白が、このお酒を飲みたいと思いましたがそのときちょうどお金を持っていなかったので、着ていた動物のテンの皮のチョッキみたいなのを売ってその金で痛飲したというんですね。また、北宋時代の蘇東坡は、この酒を称えて"三日、酒甕の蓋を開けておけば、町全体はその香りで埋まる"とか何とかいったそうです。やはり昔からこの酒はおいしかったんでしょうね。
この林涛の何度か飲みましたが、口当たりがよく、いつでも飲めるような感じがし、少し甘みが残ります。いつでも飲めるからといて、あれは昼間から飲んだのではダメ。そうですよね、昼間から強い酒飲んでちゃあ、何もできませんからね。
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