今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
いま、北京は建国記念日「国慶節」のゴールデンウイーク。この七日間の連休に入っています。で、この林涛は七日間も続けて休むことは出来ないので、休みが取れた日には郊外につりにいったり、または、食いしん坊ですから、うまいものにでもありつき、好きなお酒を気持ちよく呑もうと思っています。
さて、今日のこの時間は清の時代の大学士で、三代の皇帝に仕えた元老の張玉書にまつわるお話しをご紹介しましょう。
題して「皇帝の扇子」です。
「皇帝の扇子」
時は清の時代。ある年、乾隆帝はわずかに供を連れて私服で長江流域にある鎮江という町にやってきた。
「うん。この鎮江もいいところじゃのう。おお。思い出した、ここにはかの老臣の張玉書が隠居して住んでおると聞いたな。では今度は張玉書に鎮江を案内してもらおう」
ということになり、張玉書の屋敷を捜し当て、当の張玉書をつれてくるよう供に命じて自分は宿に戻った。
しばらくして供が歳はとったがまだ元気そうな張玉書を連れてきた。宿の部屋には乾隆帝と二人の供だけしかいないのを確かめると、慌てて跪く。
「これはこれは、皇帝さま。またお忍びでござりますか。お元気なお姿。よろこんでおりますぞ」
「久しぶりだのう!まあ、立ってそこに座れ。ここは都の宮殿ではない」
「はは。ありがたき幸せ」
「どうじゃ。隠居したあと元気にしておるか」
「おかげさまで、老後を楽しんでおりまっする。で、皇帝さま、私めを呼ばれた御用とは?」
「そちが元気なので、鎮江を案内してもらおうと思ってのう。どうかな」
「それはそれは。この上にもない幸せ。お供いたしまする」
「すまんのう。では朕の身分は伏せておくのじゃから、外では無礼講じゃ」
「かしこまりました」
こうして乾隆帝は張玉書だけを連れた出かけるという。供の者がかなり心配したが、当の乾隆帝は自分はいくらか武術の心得があるといって聞かなかった。で、二人は、その日は鎮江のにぎやかのところを見て回り、翌日はなんと横丁やお寺などにいった。こうして三日目は乾隆帝が郊外に行くというので、二人はゆっくりと歩き、鎮江の景色を楽しんだ。
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