「うん、うん、その場にそちはいたのか?」
「いえ!」
「たわけ!そちは県令じゃぞ!清の法令を知っているはず。法令には、誤って人を死なせたものは死刑には出来ないと書いてあるはず」
「はは!」
「わしの調べたところでは、農民はそのときかなり重い薪を天秤棒で担いでおり、薪をくくってある紐が不意にきれたので、薪の重さにより天秤棒の片方はすごい勢いでうしろの男に頭に当たったのじゃ。それに天秤棒の先は丸くはないので頭に食い込んだのだろう!」
「しかし、これを見ていたものは殴り殺したんだと言い張りますので、私めは死罪として裁きましたが・・」
「いま申したではないか!重い物を担いでいたので、紐が切れたときにその重さでつく勢いは強いとな!うしろを歩いていた男は当たり所が悪かったのじゃ。運が悪い」
これを聞いた県令は納得しながらもうなだれている。そこで張玉書がいう。
「そちは、かの吉発というものが誰かか知っておるのか?」
「はあ?農民でございましょう」
「たわけ!農民だからといって死刑にするのか」
「いえいえ!そんなことはござりません」
「教えてやろう!あの吉発とはいまの皇帝さまの義理娘の婿殿じゃ!」
「げえ!」
これを聞いた県令で土下座し、ぶるぶる震えだした!
「どうか!どうか!私めをお許しくださいまし。そんなこととは少しも知りませんでした。お許しくださいまし!」
「よいよい!知らぬものに罪なしじゃ!早く、吉発を牢獄から出すのじゃ!」
「はは!直ちに牢獄からだします!」
ということになり、死刑を待って途方にくれていた吉発はすぐに罪なき者としてだされ、妻の春花らと供に張玉書に何度も何度も礼をいい家に戻った。
もちろん、張玉書は、この夫婦に多くの土産を持たせたばかりが、春花を助けたという張姉さんにも褒美を与えたという。
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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