今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
この時間は、中国の昔の「子不語」という本から「魂と魄」というお送りしましょう。
わたしは漢和辞典を見てみました。漢和辞典に「魂魄」とはたましい、霊魂とありました。その次に、「魂」は陽、「魄」は陰で、「魂」は精神の働き、「魄」は肉体の生命をつかさどる活力。人が死ねば魂はしばらくして遊離し天に上るが、魄はなお暫く地上に残ると考えられていたとありました。この林涛には何のことかはっきりわかりませんが、昔の人こんな考えを持っていたということですね。
でははじめましょう。「魂と魄」
「魂と魄」(何昌士人)
長江の南にある何昌に数人の読書人がいて、北蘭寺という寺で学問に励んでいた。これら読書人の中にかなりなかのよい二人がいて、歳が離れているので、ここでは若い方を甲、もう一人を乙と呼んでおこう。
ある年、乙は家族が恋しくなりふるさとへ帰ったが、なんと、家で急死してしまった。そんなことは知らない甲は、なおも寺で学問に励んでいた。
と、ある日の夜、甲は寺から離れた住まいの自分に部屋で本を読み終わり寝ようとしているところに、なんと死んだ乙が筵をかぶって静かに入ってきた。そして横になった甲ををなでた。これに驚いた目を開けた。
「これは、どうしたんです?そんな筵をかぶって?」
これに死んだ乙はかすれた声で答えた。
「実はな、何を隠そうわたしは幽霊だ」
「な、なんですって?幽霊?」
「うん、私は数日まえに家で急病で死んだんだ」
「ホントですか?」
「君にはうそはつきたくない。わたしたちの仲だからな」
「そ、それはそうですが」
甲は目の前にいるのが幽霊だと聞き、恐れ始めた。
これに気付いたのか死んだ乙は一歩さがっていう
「わしは君とのよしみが忘れられなくなって、こうして君に別れを告げ来たんだよ。君に害をくわえたりはしないから安心してくれ」
これを聞いた甲はいくらか落ち着きを取り戻した。これを見て死んだ乙がいう。
|