湯顕祖は中国のシェークスピアと呼ばれ、宋の時代の人で、出身は江西省臨川。浙江省遂昌県はそのゆかりの地です。1592年3月、湯顕祖が左遷され、遂昌県の県令に任命されました。それ以来、湯顕祖は遂昌をよく管理し、人々に安定した暮らしをもたらしました。遂昌での生活は湯顕祖に創作の力を与え、彼はついに、世に残る作品「牡丹亭」を書き上げたのです。
周:牡丹亭のあらすじをご紹介しましょう。杜麗娘という美しい娘は、夢のなかで一人の素敵な男性と出会い、愛し合うようになります。夢が醒めてからもその男性にいつも思いを寄せ、鬱々として遂に病気になりました。麗娘は自画像を書き残して亡くなり、庭園にある梅の木の下に葬られました。
実は、夢の中の男性は柳夢梅といって、実在しました。麗娘が亡くなってから三年後、麗娘の自画像を手に入れました。あまりの美しさに魅了され、毎日拝んでいると、麗娘の魂がやってきて二人で愛を誓いました。結局、麗娘は生き返ってきて、柳夢梅と縁を結んだたという物語です。
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村人は、「石練十番」を稽古 | 藍:ロマンチックな話ですね。湯顕祖の「牡丹亭」が完成されて間もなく、各地、特に浙江、江蘇当たりでは、昆曲などの舞台劇が人々に受け、よく披露されていました。
遂昌県「石練」という街では、5百年も前の演奏と歌いがそのまま残されています。「石練十番」と呼ばれています。
いつの間にか、本来の芸術作品としてではなく、お正月の時の祭祀の曲目となったそうです。野良仕事の忙しくない夜、村人は集まり、笛、笙、太鼓、胡弓などの楽器の演奏や謡などを稽古します。そしてお年寄りは若者たちへ、それらを伝えていくのです。
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