中国のスポーツ選手育成システムは、日本と大きく異なります。中国全土で、優秀な身体能力を持った選手は、まず子供の頃から、スポーツ学校と呼ばれる学校に入り、専門のトレーニングを受けます。その後、各地区、省、そして国家代表と選抜を受け、最後にその中からオリンピックに出場する選手が選ばれます。つまりオリンピック出場を頂点として、国家代表、省代表、地域代表と続く、ピラミッド型となっているというわけです。
その底辺を支えているのが、スポーツ学校とよばれる専門学校というわけです。
北京では、「卓球第一人者」張イ寧、テコンドーのアテネ五輪金メダリスト羅微、「チェスの女王」謝軍などを生み出し、「世界チャンピオンの揺りかご」と呼ばれている什刹海スポーツ学校があります。
学校は、北京市の中心部。北京の観光名所となっている「胡同(フートン)街」、若者のナイトスポットとしてバーが立ち並ぶ「後海」と隣接しています。周囲は大変にぎやかなのですが、いったん校門を入ると、緑豊かな広い中庭があり、パラソルとデッキチェアーがところどころに置かれ、非常に静かで落ち着いた環境です。学校は1958年創立。1986年から、国家教育省の重点校となり、本格的な選手育成が始まりました。これまでに、スポーツ選手を合わせて3000人輩出しており、そのうち五輪の金メダリストが6人、国際大会での優勝者は32人います。
この学校の専門とするのは武術、散打、テコンドー、バトミントン、ボクシングの5競技で、これに加えて、体操、バレーボール、卓球の青少年育成クラスを設けています。ここに、あわせて600人が在籍しています。そしてそのほとんどが、学校内の寮に住んで、寄宿舎生活を送りながら、未来の金メダリストを目指して努力を続けています。
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